第11回 優秀な人材の確保・定着を図れる!「多様な正社員制度」について

公開日:2023年9月25日

第9回目のコラムで、魅力のある職場づくり推進に役立つ取り組み事例を15個ご紹介しました。こちらの取り組み事例は『魅力ある職場づくり推進奨励金(※都内の中小企業等が対象です)』を申請できる可能性のあるものとなるため、「実際に何から取り組もうか」といった時に優先順位の高い取り組みになるとご紹介しました。

今回11回目のコラムは、15個の取り組みの中に列挙されていた「多様な正社員制度」について取り上げます。多様な正社員制度の概要やパターン、具体例、企業側・社員側のメリットについてご説明いたします。

 

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過去記事はこちら

第1回 最近ニュースでよく目にするワードの「人的資本経営」って?

第2回 人的資本経営と密接に関わっている「リスキリング」

第3回 「リスキリング」で対象となる助成金・給付金

第4回 リスキリングとともによく出てくるワードの「DX」とは?

第5回 「DX人材」の育成について:人材確保・育成に向けた対応策

第6回 DX人材の育成:専門実践教育訓練を受けている(リスキリングしている)従業員に対して企業ができるサポートとは

第7回 教育訓練休暇等を付与した際に受けられる人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)

第8回 リスキリングをすると“従業員エンゲージメント”が上がる⁉「エンゲージメント」とは

第9回 従業員のエンゲージメントが高まる魅力のある職場環境づくりとは?具体的な取り組み事例15

第10回 従業員のエンゲージメントUP取り組みの一つ「選択的週休3日制」について

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「多様な正社員」制度の概要

2019年6月に安倍内閣によって閣議決定された「規制改革実施計画」はご存じでしょうか。この計画の中に「多様な正社員」の雇用ルールを明確化することが盛り込まれました。

「多様な正社員」とは、職務や勤務地、労働時間を限定した正社員のことをいいます。国として、この「多様な正社員」の普及・拡大を図っていきたいという考えがあり、平成26年7月30 日に労使等関係者が参照することができる「雇用管理上の留意事項」を公表。平成27年度には「多様な正社員」及び労働契約法に定める「無期転換ルール」について、企業での制度導入支援を支援するツールとして「多様な正社員」及び「無期転換ルール」に関するモデル就業規則(飲食業・小売業)を作成。そして来年の令和5年4月改正にて、労働条件の明示ルールに新たに4項目が追加され、「多様な正社員」制度を円滑に導入、運用するための法整備が着々となされていっています。

 

多様な正社員、主な3パターン

多様な正社員には、主に以下の3パターンがあります。

①勤務地限定正社員:転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない正社員

②職務限定正社員:担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員

③勤務時間限定正社員:所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業が免除されている正社員

 

多様な正社員の具体例

次に、多様な正社員の具体例をご紹介します。

・全国転勤のない営業職(①に該当)

・限定された店舗で働く販売スタッフ(①に該当)

・ディーラーなど、特定の職務のスペシャリスト(②に該当)

・短時間勤務(1日6時間程度)の事務職(③に該当)

 

 なお、多様な正社員の形態は、限定の内容(勤務地、職務、勤務時間)を組み合わせることで、企業の実情に応じたバリエーションが広がります。例えば、勤務時間×職務といったように、勤務時間が限定され、かつ職種も限定されている「短時間正社員」といった形態もあり得るということになります。

 

企業側・社員側のメリット

企業側のメリットとしては、次の4点が考えられます。

①優秀な人材の確保・定着

②多様な人材の活用

③技能の蓄積・承継

④地域に根差した事業展開

→家庭の事情等により転勤やフルタイム勤務が困難なため、辞めざるをえない社員の離職を防止することができたり、勤務地や勤務時間が限定された多様な正社員を、無期転換後の受け皿とすることで、労働力の安定的な確保を図り、さまざまな人材の活用を促したりすることができます。

 

社員側のメリットとしては、次の4点が考えられます。

①ワーク・ライフ・バランスの実現

②雇用の安定・処遇の改善

③キャリア形成

④キャリア・アップの実現

→育児・介護等の事情により転勤やフルタイム勤務が困難な者などの就業の継続、能力の発揮が可能となったり、安定した雇用のもと中長期的なキャリア形成やキャリア・アップも可能となります。

 

現在、多様な正社員を導入・運用している企業は約3割弱(令和2年度)という調査結果があり、事業規模が大きいほど導入割合は高くなっています。導入の理由としては「優秀な人材の確保のため」や「社員の定着のため」「ワーク・ライフ・バランスの実現のため」等が上位に挙げられており、実際に、多様な正社員制度を導入・運用することで、優秀な人材の確保・定着の一手となることは間違いないでしょう。

国としても「多様な正社員制度」の普及・拡大を図っていきたいという考えがあることから、制度の導入について本格検討を始めてみてもいいかもしれませんね。

 

参考:厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/file/01-270227.pdf

参考:厚生労働省「規制改革実施計画の取組状況等について(令和5年1月27日 )

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_02human/230127/human06_0101.pdf

 

 

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