会社を強くする!使いやすい助成金2024特集

 

助成金を上手に活用するために
2024年のポイントと注意点

 

厚生労働省関係の助成金は、雇用の安定や職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の育成など、企業経営の上で役立つものが多数あります。

助成金は企業が支払っている労働保険料の一部を財源としており、そのほとんどは業種を問わず活用することができ、返済の必要もないため、人事労務部門としては最新の情報は押さえておきたいところ。

2024年度も雇用・労働分野で数多くの助成金が予算化されています。

一つひとつ細かく要件がありますが、自社の経営課題解決にぜひ積極的に活用していきたいものです。

本助成金特集では、厚生労働省関連の助成金の中から、企業にとって使いやすいものを取り上げ、専門家による関連制度や体制づくりのポイント解説とともにわかりやすく紹介していきます。

 

※助成金受給の可能性を診断する「助成金診断ツール」2024年度版は7月初旬に掲載予定です

 

2024年度助成金の主なポイント

両立支援等助成金

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)が拡充されました。
  • 柔軟な働き方選択制度等支援コースが新設されました。

働き方改革推進支援助成金

  • 適用猶予業種等対応コースが業種別課題対応コースに名称変更されました。

65歳超雇用推進助成金

  • 高年齢者無期雇用転換コースで助成額が減額されています。

人材確保等支援助成金

  • 人材評価改善等助成コースの新規受付が再開されました。

※人材開発支援助成金、特定求職者雇用開発助成金、業務改善助成金は大きな変更はありません。

 

助成金はどんなふうに活用できる? ~ケース別活用イメージ~

ここでは助成金の活用イメージををいくつか紹介します。

助成金によっては、「中小企業」と「中小企業以外」で助成額が異なる点、「中小企業のみ」を対象としている点にご注意ください。

また、実際に申請する場合は、助成金ごとに定められた支給要件をクリアする必要があります。

 

活躍している有期契約社員を正社員に登用したい

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の活用イメージ

6か月以上雇用している有期契約社員を正社員(※)に登用したい 

 

⇒正社員転換制度を導入して、正社員に転換した 

 

⇒正社員化後6か月雇用 

 

⇒支給申請(第1期)

 

⇒正社員としてさらに6か月間雇用

 

⇒支給申請(第2期)

※多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)へ転換等(派遣労働者の直接雇用含む)した場合も、対象となります。

 

令和6年度の支給額は、有期雇用労働者の正社員化の場合、80万円(40万円×2期)<中小企業の額>となります。

 

勤務間インターバル制度を導入して、従業員のワークライフバランス環境を整えたい

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の活用イメージ

※「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るもので、平成31年4月から、制度の導入が努力義務化されています。

ワークライフバランスの実現に向け新規に勤務間インターバル制度を定め、労働時間管理と賃金計算がリンクするソフトを導入することにした(※30人以下の会社の場合)

 

⇒勤怠管理ソフト(70万円)を導入し、社員に労働時間に関する研修を行った

 

⇒支給申請

令和6年度のこのケースの場合、費用70万円の対象経費に対し、4/5である56万円が助成されます。

 

シニアが活躍できる環境を整えたい

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)の活用イメージ

60歳以上の社員がいるので、定年後の継続雇用の年齢を見直し、長く働き続けられる体制をつくりたい

 

⇒定年後の継続雇用の上限年齢を65歳から70歳へ延長し、就業規則を改定した

 

⇒支給申請

65歳超継続雇用促進コースは、「65歳以上への定年引上げ」「希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」「他社による継続雇用制度の導入」の4つの措置があり、人数や年齢の引き上げ幅に応じて支給額が異なります。上記のケースの場合は、30万円が助成されることになります。

 

支給申請までのスケジュール

助成金は、事前に管轄の労働局、ハローワーク等に計画を申請し認定される必要があるもの、事後申請だけでいいものとあります。

支給申請期間は、各助成金別支給要領で規定している場合を除き、各助成金ごとに定める日の翌日から起算して2か月以内です。

1日でも過ぎると受け付けてもらえなくなりますので、期日管理が非常に重要です。

必ず各助成金の最新の支給要領で申請期限をチェックしたうえで、助成金活用を考えましょう。

キャリアアップ助成金の申請までの流れ

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)」


 

助成金を申請できる?できない?最初にチェックしておきたいポイント

助成金の一般的なポイントが理解できたら、次は自社の労務管理について、チェック項目に沿って社内を確認しておきましょう。

労働関係法令(労働基準法・労働者災害補償保険法・雇用保険法など)に基づいた正しい労務管理が行われているかが大前提です。

助成金申請では、多くの場合、添付書類として賃金台帳やタイムカード等が求められます。不備がある場合、不支給となる可能性もあります。

なお、受給できない事業主の要件に当てはまる場合、助成金の受給はできません。

 


助成金を上手に利用するためのチェックリストダウンロード


助成金活用に役立つ専門家コラム

助成金は、労働環境の改善や人材の能力向上、雇用の維持等に関する制度・環境の整備や実際の措置の実施等を後押しすることを目的に支給されるものです。

そのため、各助成金で、さまざまな要件が決められています。

ここでは、かいけつ!人事労務の「専門家の知恵」コーナーから、「労働時間の短縮等」「短時間労働者のキャリアアップ」「仕事と家庭の両立支援」「障害者雇用」に関する助成金活用を検討するうえで参考になるコラムをセレクトして紹介します。

 

労働時間の短縮等

コロナ明けの今こそ再確認!勤務間インターバル制度とは?

株式会社ブレインコンサルティングオフィス 西田牧子 

助成金も活用できる勤務間インターバル制度。コロナ禍の3年間を通じて在宅勤務など多様な働き方が増え、さらにはコロナ明けで出社勤務も増えてきた今、あらためて勤務間インターバルについて確認していきましょう。

 

短時間労働者のキャリアアップ

キャリアアップ助成金に新設された『社会保険適用時処遇改善コース』とは~年収の壁・支援強化パッケージ~

コンサルティングハウス プライオ代表 大須賀信敬

「年収の壁を意識せずに働ける環境づくりの後押し」を目的とした施策の一つである「年収の壁・支援強化パッケージ」。キャリアアップ助成金に新設された『社会保険適用時処遇改善コース』について解説しています。

 

仕事と家庭の両立支援

介護休業と両立支援のポイント

三谷社会保険労務士事務所 三谷文夫

企業における介護支援とは? 介護休業と介護離職を防ぐための介護と仕事の両立支援の基本的な知識について解説しています。

 

真の育児・介護・治療と仕事の「両立支援」とは

寿限無経営コンサルティング代表 福田惠一

育児と仕事、介護と仕事、治療と仕事の両立支援の意義と会社が実施すべきこととは?支援プランを作成のポイントと注意点を中心に解説しています。

 

障害者雇用

40人以上の企業は要チェック!4月から障害者法定雇用率が引き上げられます

社会保険労務士法人SOPHIA代表 松田法子

段階的に引き上げられることになった障害者の法定雇用率と、障害者雇用における国の支援について解説しています。

 

厚生労働省関係の助成金ページ

雇用関係助成金

雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などに活用できる助成金の案内ページです。

事業主の方のための雇用関係助成金

雇用関係助成金検索ツール

労働条件等関係助成金

職場環境の改善、生産性向上などに向けた取り組みに活用できる助成金の案内ページです。

「労働条件等関係助成金」のご案内

 

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