
【セミナーレポート|事例編】
YORISOU社会保険労務士法人に学ぶ「共に働き、共に成長する」定着支援
民間企業に雇用されている障害者の数は70.5万人(22年連続で過去最高を更新)に達し、実雇用率も2.41%(令和7年6月1日現在)となるなど、障害者雇用は着実に広がっています。さらに、2026年7月からは法改正によって法定雇用率が2.7%へと引き上げられ、対象となる事業主の範囲も従業員37.5人以上の企業へと拡大しました。
これにより、企業には法令への対応はもちろんのこと、障害の有無にかかわらず誰もが活躍できる「共生社会」の実現を見据えた環境整備が不可欠となっています。
しかしその一方で、現場では、法定雇用率を満たすための「数合わせの採用」や、本人の状況と職場環境のミスマッチによる早期離職といった課題も表面化しています。
こうした状況の中、今現場で強く求められているのが「雇用の質」の向上です。
そこでブレインコンサルティングオフィスでは、2026年7月2日、障害者が長く活躍できる職場づくりを考えるオンラインセミナーを開催。実際の企業現場で働く障害当事者とその上司をお招きし、「当事者」と「マネジメントする上司」の双方の視点から、現場で生じるリアルな課題や定着のポイントについて詳しくお話しいただきました。
本セミナーの模様を【実務解説編】と【事例編】の2回に分けてレポートします。
※本記事は、2026年7月2日に開催されたオンラインセミナーの開催レポートです。

>>>登壇者の各プロフィールは【実務解説編】でご確認ください
「一人の仲間」として共に歩む、誰もが安心して力を発揮できる組織へ
登壇者紹介:当事者と受け入れ企業、それぞれの立場から
木下文彦氏(以下、木下):実務解説編では「雇用の質」の4つの軸や、それを支える「就労移行支援事業所との連携」について解説しました。ここからは実際に就労移行支援を経て採用・定着に至った笹川さんと、上司の秋元さんにもご登壇いただき、障害者が安心して長く働き続けられる現場づくりについて深掘りしていきます。まずは、お二人から自己紹介をお願いいたします。
笹川あかり氏(以下、笹川):YORISOU社会保険労務士法人の笹川と申します。私は現在、障害者雇用枠で働いており、双極性障害Ⅱ型と発達障害(ASD)の診断を受けています。ASDの特性として聴覚情報を取り扱うのが苦手な面があるため、職場では電話対応を免除していただいています。
障害者雇用枠で働くのは今の会社が初めてで、それまではずっとクローズで(障害を伏せて)働いてきました。本日は、就労移行支援事業所に通った経験や、今の会社で働き始めて感じたことをお話しできればと思います。よろしくお願いいたします。
秋元全和氏(以下、秋元):同じくYORISOU社会保険労務士法人の秋元と申します。私は笹川さんと共に「プレシャスワークデザイン室」という部署で広報を担当するほか、企業様における障害者雇用の導入から定着までの支援を行っています。前職では就労支援センターのセンター長として「送り出す側」にいましたが、現在は「受け入れる側」の立場から障害者雇用に関わっています。
私たちが大切にしているのは、制度やルールで人を見るのではなく、一人の同僚として迎え、上司や周囲が一方的に管理するのではなく、その方の人生の歩みに寄り添いながら共に働き成長できる形を一緒に考えていく姿勢です。
「自分を知る」ことから始まった、就労移行支援での一歩
木下:笹川さんは、どのようなきっかけで就労移行支援事業所に通われたのでしょうか?
【まとめ】職場の理解と専門機関との連携が定着を支える
今回のセミナーを通じて、一番印象的だったのは、障害者を「支援の対象」として捉えるのではなく、「一人の大切な仲間」として共に働くという姿勢でした。
このような関係性を築くためには、一人ひとり異なる障害特性を正しく理解し、それぞれが力を発揮できる働き方やコミュニケーションのあり方を考えていくことが欠かせません。
今回ご登壇いただいた笹川さんの成長の背景には、ご本人の努力はもちろん、秋元さんをはじめとする職場の理解と伴走、そして就労移行支援事業所との連携がありました。この三者が信頼関係を築きながら丁寧に歩んできたプロセスは、多くの企業にとって参考となる好事例といえます。
また、これから障害者雇用に取り組む企業や、採用経験が少ない企業にとっては、就労移行支援事業所などの専門機関と連携することが成功のカギといえます。専門機関で訓練を受けた方は、自身の強みや課題、必要な配慮について自己理解を深めているケースが多く、企業側も適切な受け入れ体制を整えやすくなるため、採用後のミスマッチ防止や定着率の向上にもつながります。
法定雇用率の引き上げへの対応を単なる法令順守に終わらせるのではなく、雇用の質向上の契機として捉え、理解と連携を積み重ねていくことが、「誰もが安心して力を発揮できる組織」の実現につながる第一歩といえるのではないでしょうか。
そのためには、障害特性への理解や受け入れの考え方を、担当者だけでなく経営層や現場も含めて組織全体で共有していくことが重要です。ブレインコンサルティングオフィスの「障害者雇用 実務安心パック🄬」は、実務担当者向けの教材だけではなく、経営層向けの理解促進資料や職場向けの研修映像、実務に役立つ各種ツールを収録しており、社内の受け入れ体制づくりを支援する教材として活用できます。今回のセミナーで紹介された考え方や取り組みを、自社で具体的に進める際の一助として、ぜひご活用ください。
>>>【セミナーレポート|実務解説編】2026年以降の障害者雇用実務のポイント
執筆・編集
大橋幸子
株式会社ブレインコンサルティングオフィス(https://www.e-brain.ne.jp/) 社会保険労務士
組織や人に関する課題・悩みを「かいけつ!」する人事労務ご担当者のための“実務”情報サイト『かいけつ!人事労務』の記事企画・編集・監修を担当。育児介護休業法や障害者雇用、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)をはじめとする時代の潮流を捉えたテーマを中心に、法改正に伴う制度対応から現場での運用・定着までを網羅した実践的な情報を発信している。また、メディアでの情報発信にとどまらず、セミナーの企画や実務ツールの開発・制作を通じ、企業と社労士の双方が現場で即活用できる実践的なソリューションを提供している。
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