
医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~
届出しただけでは終わらない! ベースアップ評価料「中間報告」と「実績報告」で押さえておきたいポイント
<しみずハート社会保険労務士事務所 代表 清水美穂/PSR会員>
>>>【連載】医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~
ベースアップ評価料を届出している医療機関は、届出をして終わりではありません。
令和8年8月31日までに報告書の提出が必要です。
「届出は終わったけれど、その後は何をすればいいの?」
「実績報告と中間報告の違いがよく分からない。」
このようなご相談を受けることが少なくありません。
令和8年は、令和8年度の中間報告と、令和7年度の実績報告という2種類の報告があります。
どちらも様式がよく似ているため、「どちらに何を書くのか」が分かりにくく、記載内容を混同してしまうケースも考えられます。
そこで今回は、まず「自院ではどの報告書の提出が必要なのか」、そして報告書を作成する際に押さえておきたいポイントを整理していきます。
ベースアップ評価料、“配り方”で失敗しないために
令和8年度 ベースアップ評価料の実務完全ガイド【第1回】まずはここまで!無床診療所の届出と様式整理
令和8年度 ベースアップ評価料の実務完全ガイド【第2回】有床診療所・病院対応と「基本給等」「月額賃金」の実務整理
ベースアップ評価料 よくある質問Q&A ~届出後に迷いやすいポイント整理~
まず確認したい「自院はどの報告が必要か」
令和8年8月31日までに提出が必要な報告は、ベースアップ評価料を届出した時期によって異なります。
① 令和7年度にベースアップ評価料を算定している医療機関(※令和8年3月に届出した医療機関も含みます)
提出が必要なのは次の2つです。
・令和7年度実績報告書
・令和8年度中間報告書
② 令和8年度からベースアップ評価料を届出した医療機関
提出が必要なのは
・令和8年度中間報告書のみ
令和8年6月から算定を開始した医療機関は、令和7年度にベースアップ評価料を算定していないため、令和7年度実績報告は提出不要です。
一目で分かる提出書類

実績報告書は「昨年度の結果」を報告するもの
令和7年度実績報告書は、令和7年4月から令和8年3月までに受け取ったベースアップ評価料を、どのように賃金改善へ充てたのかを報告するものです。
実務上、準備する主な数字は次の3つです。
①令和7年度のベースアップ評価料収入実績
②ベースアップ後の基本給等総額
③ベースアップした金額
① のベースアップ評価料収入実績は以下の場所で確認することができます。
- 社会保険診療報酬支払基金分・・医療機関向け総合ポータルサイトサイト
(ログイン後 右上のプロファイルから確認できます) - 国民健康保険団体連合会分・・オンライン請求端末からダウンロード
中間報告書は「賃上げを継続しています」という報告
一方、中間報告書は令和8年度の状況を確認するための報告です。
対象となるのは、令和8年6月・7月分です。
中間報告書で準備する主な資料は、以下の3点です。
①令和8年6月・7月のベースアップ評価料収入
②新ベースアップ評価料による賃上げ『前』の基本給等総額
③新ベースアップ評価料による賃上げ『後』の基本給等総額
令和8年4月・5月の報告は?
今年、特に多くいただく質問が、「令和8年4月・5月は報告しなくていいのですか?」というものです。
令和7年度の実績報告は令和7年4月から令和8年3月までが対象です。
一方、令和8年度中間報告は令和8年6月・7月が対象となっています。
そのため、令和8年4月・5月分を報告する欄がありません。
「4月・5月が抜けているけれど大丈夫?」と不安になる方も多いのですが、制度上そのような取扱いとなっています。
間違えやすいポイント
今から準備を始めましょう
締切直前に、
「いつの賃金台帳を使えばいいですか?」
「どの数字を集計すればいいですか?」
というお問い合わせが一気に増えてきます。
しかし、実際に必要となる資料はある程度決まっています。
評価料収入の実績、賃金台帳、ベースアップの内容を早めに確認しておけば、提出期限直前に慌てることはありません。
ベースアップ評価料は、「届出をしたら終わり」の制度ではありません。
継続して賃金改善を行い、その内容を適切に報告することまでが制度の一部です。
8月31日の提出期限に余裕をもって対応できるよう、今のうちから必要資料の準備を進めておきましょう。
8/7(金)実績報告・中間報告の完全解説セミナーを開催します
今回ご紹介したのは、実績報告と中間報告の全体像です。
「いつの賃金台帳を使えばよいのか」
「どの数字を集計すればよいのか」
「どの月を比較すればよいのか」
など、迷いやすいポイントが数多くあります。
令和8年8月7日(木)に開催する「令和8年度ベースアップ評価料「実績報告・中間報告 完全解説セミナー」(主催:ブレインコンサルティングオフィス)では、実績報告書・中間報告書について、実際の様式を用いながら、記載方法や集計のポイントを実務目線で分かりやすく解説します。
「自院の対応がこれで合っているか確認したい」
「提出前に不安を解消しておきたい」
という医療機関の皆さまは、ぜひご参加ください。
※本コラムは令和8年7月28日時点の通知や疑義解釈等に基づいて作成しています。今後、新たな通知や疑義解釈の発出、報告様式の変更などにより、取扱いが変更される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
【参照】※厚生労働省の資料は掲載場所が変更されることがあります
>>>【連載】医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~
プロフィール
清水美穂
社会保険労務士・医療労務コンサルタント・ハラスメント防止コンサルタント・2級ファイナンシャルプランニング技能士
しみずハート社会保険労務士事務所 (https://www.sr-heart.com/)代表
同志社大学経済学部卒業。
山口放送のアナウンサーを経て社会保険労務士資格を取得。
現在は医療・介護・福祉分野を中心に顧問業務を行う一方、夫が院長を務める内科クリニックの事務長として、診療報酬請求や人事・労務管理にも携わっている。医療機関向け制度解説をYouTubeでも発信している。
アナウンサー経験を活かした、わかりやすい説明に定評がある。
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