【専門家の知恵】インターンシップで取得した学生情報を採用活動に利用することが可能に

公開日:2023年11月16日

 

<社会保険労務士法人出口事務所 代表社員 特定社会保険労務士 出口裕美/PSR会員>

採用活動前にインターンシップを実施する企業が多くなりましたが、インターンシップで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされてきました。

これについて、2022年6月に一部改正され、一定の要件を満たしたインターンシップについて、取得した学生情報を採用選考活動等に活用することが可能になりました。

 

学生情報を採用選考活動等に活用することが可能なインターンシップとは

本来、インターンシップは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されており、そこで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされてきました。

これについて、文部科学省、厚生労働省および経済産業省は合同で「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」を2022年6月13日に一部改正し、一定の要件を満たしたインターンシップについて、取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能という方針に変更しました。

この改正は、2025年3月に卒業・修了する学生(学部生ならば2023年度に学部3年生に進学する学生)が、2023年度に参加するインターンシップから適用されています。

一定の要件を満たしたインターンシップで得られた学生情報については、その情報を採用活動開始後に活用することができる点が改正のポイントになります。

一定の要件とは、就業体験要件として

  • 「必ず就業体験を行う。インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てること」や、
  • 実施期間要件として「インターンシップの実施期間は、汎用的能力活用型では5日間以上、専門能力活用型では2週間以上であること」、
  • 実施時期要件として「学業との両立に配慮する観点から、大学の正課および博士課程を除き、学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)に実施すること」

等が含まれています。

これまでも実質的にはインターンシップで得られた情報が採用活動に用いられていたともいわれていますが、方針が明確化されたことの意義は大きいと思われます。

資料 文部科学省、厚生労働省、経済産業省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220613002/20220613002-1.pdf

 

学生情報を採用選考活動等に活用することが可能なインターンシップに向けて企業が準備すべきこととは

今回変更となった「企業等がインターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組で取得した学生情報の広報活動・採用選考活動における取扱いの考え方について」に基づき、取扱いに留意する必要があります。

また、募集要項等に、以下の項目に関する情報を記載し、HP 等で公表しましょう。

 

 ①プログラムの趣旨(目的)
 ②実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給/有給等
 ③就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)
 ④就業体験を行う際に必要な(求められる)能力
 ⑤インターンシップにおけるフィードバック
 ⑥採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得した学生情報を活用する旨
     (活用内容の記載は任意)
 ⑦当該年度のインターンシップ実施計画(時期・回数・規模等)
 ⑧インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)
 ⑨採用選考活動等の実績概要 ※企業による公表のみ

現在は多様な「インターンシップ」が存在しますが、今回、タイプ1から4まで明確に分けられました。タイプ3及びタイプ4の大学等のインターンシップについては、「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」と定義されました。

募集要項に産学協議会基準準拠マークを記載により見分けることが可能になりますので、今後、インターンシップを選択する際にご参考いただければと思います。

 タイプ1 オープン・カンパニー
 タイプ2 キャリア教育
 タイプ3 汎用型能力・専門活用型インターンシップ
 タイプ4 高度専門型インターンシップ(試行)


プロフィール

出口裕美 
社会保険労務士法人  出口事務所(https://www.deguchi-office.com/
代表社員  特定社会保険労務士

2004年に社会保険労務士事務所を開業。出産を機に、育児と仕事の両立のためテレワーク(在宅勤務)を開始。2014年に社会保険労務士法人出口事務所に法人化。2017年にテレワーク(サテライトオフィス勤務)を開始。2020年に新型コロナウイルスの取り組みの様子をメディアにて紹介。
経営者と社員が継続的に安心して働ける環境を構築するため、インターンシップ、ダイバーシティ(雇用の多様化)、テレワーク、業務管理システム等を積極的に導入し、また企業への導入支援コンサルタントとしても活動中

 

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