労働時間の適正な管理は、賃金計算の基礎となるだけでなく、労働基準法を遵守するための最も基本的なものです。しかし、事務処理の簡便化や慣習的な運用により、本来労働時間と扱うべき時間を切り捨てているケースも少なくありません。
今回は、典型的な違反事例を踏まえ、企業が押さえるべき適正な労働時間管理のポイントを解説します。
労働時間の基本的な考え方
労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指します。重要なのは、「黙示の指示」も含まれる点です。明確に業務指示をしていなくても、業務上必要な行為であると認識しながら業務を行わせている時間は、労働時間と扱われます。
例えば、着用を義務付けられた制服への着替え、業務に必要な朝礼や清掃などの準備行為・後始末、研修の受講などの時間です。それをしないと業務に支障が出る・業務が行えない、評価に影響するようなものは、明確な業務指示がなくとも労働時間になる、ということです。
よくある労働時間管理の違反事例
さて、労働時間の原則をおさらいしたところで、よくある違反事例を紹介していきます。
事例① 勤怠管理システムの端数処理による切り捨て
プロフィール
特定社会保険労務士 内川真彩美
いろどり社会保険労務士事務所(https://www.irodori-sr.com/)代表
成蹊大学法学部卒業。大学在学中は、外国人やパートタイマーの労働問題を研究し、卒業以降も、誰もが生き生きと働ける仕組みへの関心を持ち続ける。大学卒業後は約8年半、IT企業にてシステムエンジニアとしてシステム開発に従事。その中で、「自分らしく働くこと」について改めて深く考えさせられ、「働き方」のプロである社会保険労務士を目指し、今に至る。前職での経験を活かし、フレックスタイム制やテレワークといった多様な働き方のための制度設計はもちろん、誰もが個性を発揮できるような組織作りにも積極的に取り組んでいる。











