【AI時代における労務問題への対応実務】最低賃金から考えるAIの限界

公開日:2026年7月16日

AI時代における労務問題への対応実務

最低賃金から考えるAIの限界

 


<フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 代表・特定社会保険労務士 小嶋裕司/PSR会員

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前回は、労務問題には他の分野とは異なる特殊性があり、AIの回答をそのまま採用することには慎重でなければならない理由を確認しました。

では、AIが正確な回答を返せるようになったら、労務問題の答えを出してもらえるのでしょうか。

結論から言えば、それでもAI単独で答えを出すことは難しいと考えています。

労務問題は、法律、経営上の制約、社内事情などが絡み合い、ときにぶつかるため、それらを調和させながら、会社が納得して採用できる内容を選ぶ必要があるからです。

今回は、最低賃金への対応を例に、AIに答えを求めることの限界を考えていきます。

AIが誤りを犯さなければ、正解を出してもらえるのか

前回は、AIに正解を求める使い方をするのは慎重であるべきだという話をしました。以下の3つの理由からでした。

  • 労務問題には多くの法律が絡み、しかも、頻繁に改正されるため、AIの回答に誤りが混じりやすいこと
  • 会社の解釈の誤りが大きな問題に発展しかねないこと
  • 労務問題は会社と社員の利害・感情がぶつかりやすいテーマであること

労務問題はAIの回答に誤りが含まれやすく、かつ、その誤った回答を採用した場合の会社のリスクが大きい問題です。しかも、対応を誤ると労使トラブルに発展しやすいセンシティブな問題です。したがって、AIには正解を求めるのではなく、会社が判断するための材料を出させる使い方が適切だという内容でした。

それでは、AIがどんどん進化し誤りを犯さなくなれば、又は、AIが誤りを犯さないような問題ならば、AIに正解を求めることはできるのでしょうか。結論から申しあげると、経営者・人事担当者が悩んで相談したくなるような複雑な労務問題に関しては、AIに正解を求めるのは厳しいのが現実です。

 

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執筆者

小嶋裕司

フェスティナレンテ社会保険労務士事務所(https://www.festinalentesroffice.com)代表 
特定社会保険労務士

就業規則の専門家。企業が抱える人事労務の課題解決のため、その実現に必要な就業規則や関連規程の整備の支援をしている。法令遵守と企業の事情を両立させた現実的な対応を得意とする。生成AIの黎明期である2023年3月から、AI・デジタル講師陣がそろう学習環境下で本格的に生成AIの活用を開始。自らの実務に活用するだけでなく、人事の専門家に向けて「AI時代の労務問題・就業規則」をテーマとした勉強会の講師を務めるなど、新しい時代の人事労務に関する知見を積極的に発信している。


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