【専門家の知恵】中小企業ほど大切なメンタルヘルス対策、不調者を早期発見する方法

公開日:2018年2月1日

<Office CPSR(オフィス シーピーエスアール)臨床心理士・社労士事務所 植田 健太/PSR会員>

 

 これまでの中小企業でのメンタルヘルス対策というのはどちらかというと後回しになっているというのが現状ではないだろうか?

 私の事務所でも、予防をやりたいと相談に来ていただけるケースでは残念ながら少なく、多くはトラブルが発生しておりどのように対処してよいかわからない、というケースが相談として寄せられている。 

 では、中小企業では本当にメンタルヘルス対策の必要はないのだろうか?


◆職場でのメンタルヘルス問題を抱えている社員が存在する割合

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 上記はメンタルヘルスに問題を抱えている社員の数を社員数ごとに比較した調査である。注目すべきは30名未満であっても999名未満であってもそれほど数値が変わらないという事実だ。これは、中小零細企業であってもメンタルヘルス対策が必要であるということを如実に示しているといえるだろう。

 現在ストレスチェックが義務化されているのは、50名以上の事業場とされている(50名未満は努力義務)。しかしながら、どのような規模であってもメンタルヘルス対策は必要だろうし、社員の少ない企業ほど、1人が休職などで欠けたインパクトは大きいはずだ(例えば1万人の会社で1人休職するのと、10名の会社で1名休職するのでは、どちらがインパクトが多いだろうか?)。事業を安定して継続していくために、中小企業ほどメンタルヘルス対策が必要といえるのではないだろうか。


◆休職者が出た場合…

 メンタルヘルス不調でお休みになる社員が出たときは、多くの企業で対応が後手後手になってしまう。

 外部のコンサルタントとして相談を受けると、もっと早くこうしておけばよかったのに、という例がとてもたくさん見受けられる。

 では、どうして後手後手になってしまうのだろうか?

 その理由のひとつとして、管理職がメンタルヘルス対策への理解が少ないことが挙げられる。

 管理職は、職場の要だ。この管理職がうまく機能していないと職場の生産性は高くならない。

 これは、メンタルヘルス対策に限ったことではなく、日常のマネジメントにも通じることである。

 では、特に管理職に上手くメンタルヘルス対策をさせるためにはどうしていけばよいだろうか?

 一般的には、管理職研修をしましょうとなるのだが、当事務所ではそのことに加え、「人事へ連絡する際の客観的な基準を定める」ことをお勧めする。

 例えば、
 何か様子がおかしいときは人事へ連絡を
 ではなく、
 遅刻をしたら、1週間に2日以上有給(旅行など理由が明らかな場合は除く)を取得した際は人事に連絡を
 と社内ルールを設定し、運用していくことだ。

 上記客観的なルールを定めることにより、管理職からすると何かむつかしいメンタルヘルス対策ではなく、通常の勤怠管理に変わっていく。

 このように社内ルールを客観的な数値で定めることにより、不調者の早期発見をすることができ、深刻な状態になる前に対応することができる。

 メンタルヘルス対策は、難しいものではない。少しの工夫と継続し続けることで不調者を減らすことはもちろん、組織を活性化させ業績を向上することができる。

 とはいってもどのようにやればよいか不安だな、と感じられたら”社長専属カウンセラー”である当事務所へご相談いただきたい。社長や人事部長のお悩みを専門家がとことんお聴きするので、不安が解消してより本業に集中できるようになるだろう。当事務所では、小規模であってもきちんと社員のメンタルヘルス対策をしたいという方からのお問い合わせをお待ちしている。

 

プロフィール

こころと法律の専門家 代表 日本唯一の臨床心理士・社労士事務所代表 植田 健太
Office CPSR(オフィス シーピーエスアール)臨床心理士・社労士事務所(http://cp-sr.com)代表
日本で唯一男性で臨床心理士・社労士を保有しております。企業のメンタルヘルス対策に特化しております。事務所理念は「頑張る人がより頑張れる環境作り」です。 

 

 

 

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