【給与計算の流れ】支給額の計算

公開日:2018年8月11日

勤怠の集計が終わったら、次はその集計情報を基に支給額の計算を行います。
支給項目は、主に以下の3つに分けられます。

 ①基本給、各種手当など毎月決まって支払われる固定的賃金
 ②時間外労働・休日労働・深夜労働に対して支払われる割増賃金
 ③遅刻・早退・欠勤があった場合に控除される賃金

 ③については支給項目ではないように思えますが、③の控除がある場合、総支給額が変わってくるため、支給項目に入っています。
 以下の給与明細書の支給欄の例を使って、それぞれの項目について説明します。なお、給与明細書や割増賃金の計算方法は会社ごとに異なりますので、自社の明細書・計算方法に合わせて処理する必要があります。

<給与明細書の支給欄の例>

 

①固定的賃金を記載します。

 昇給・降給があった場合の基本給の変動はもちろん、家族の増減があった場合の家族手当、住宅の取得などにより変更された場合の住宅手当など、変動の有無をその都度確認して記載します。

②時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金を計算して記載します。

 時間外労働・休日労働・深夜労働を行った場合の割増賃金を計算します。割増賃金は、一般的に以下の計算式で算出します。

1時間あたりの賃金額 ×(1+割増率)× 時間外・休日・深夜労働の時間数

 時間外・休日・深夜労働に対する賃金の割増率は下表のとおりです。

ここでのポイントは、「法定休日労働+時間外労働」という割増率はないという点です。法定休日労働が法定労働時間(8時間)を超えた場合でも、深夜労働(22時~翌日5時までの労働)にならない限り、割増率は「3割5分以上」のままです。

なお、この明細書で「休日勤務手当」と「法休(法定休日)勤務手当」の項目が分かれているのは、法定休日以外の休日の労働に対しては時間外労働と同じ割増率でも問題ないことから、一般的に「休日勤務手当=2割5分」、「法休勤務手当=3割5分」と割増率を分けている会社が多いためです。
※法定休日とは、労働基準法で定められた週1回の休日をいいます。週休2日制の会社の場合、2日の休日のうち会社が決めたどちらか1日が法定休日となります。

③遅刻・早退・欠勤があった場合の控除額を計算して記載します。

 遅刻・早退・欠勤があった場合には、その時間分の賃金を控除することができます。たとえば、15分の遅刻・早退の場合は「1時間あたりの賃金額×15/60」、欠勤の場合は「1日あたりの賃金額×欠勤日数」のように計算します。
 遅刻・早退・欠勤について控除を行うかどうかは、会社ごとに異なります。また、控除の計算方法についても会社によって取り決めが異なりますので、自社の就業規則や賃金規程などで確認してください。

④その他

 通勤手当は、通勤の手段(公共交通機関かマイカー通勤かなど)や金額によって所得税の課税対象になるかどうかが異なるため、固定的賃金などとは別に記載します。

 

支給のポイント

法定休日労働が法定労働時間(8時間)を超えた場合でも、深夜労働(22時~翌日5時までの労働)にならない限り、割増率は「3割5分以上」です。

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