毎年6月は、労働保険の年度更新手続きの時期です。
6月に労働局から緑色の封筒が送られてきてから、「今年もやらないと」とスタートする会社も多いでしょう。
実は、労働保険年度更新の準備は、4月、5月から始められます。
締め切りのある届出をスムーズに乗り切るためにも、早めの準備がおすすめです。
この記事では、どのように準備を進めればよいか、間違えやすいポイントについてもお伝えします。
そもそも労働保険年度更新とは?
労働保険年度更新とは、事業所が毎年行う「労働保険料の精算と概算」の手続きです。
労働保険は「労災保険」と「雇用保険」の総称です。
労災保険は、仕事に関係する病気やけがから労働者の生活を守るための保険で、すべての労働者が対象です。1日でも雇用されれば対象となります。
雇用保険は、原則週20時間以上働く労働者が対象で、労働者の退職後の生活や、育児や介護で働けない間の生活を支える保険です。教育訓練のために使える制度もあります。
労災保険と雇用保険の主な財源は、会社が納める労働保険料です。雇用保険については一部従業員が負担することになっており、会社が給与から天引きして、ともに納めることになっています。
労働保険料は、事業を開始して従業員をはじめて雇う時に発生します。従業員を1人でも雇用する事業者は、少なくとも労災保険に加入する義務があるからです。
労働保険料は、まず「見込み」で納めます。保険料の金額は、従業員に支払うお給料の見込み金額をもとに計算するルールです。2年目以降も、その年度に支払う予定のお給料から計算した「見込み」金額で納めます。
ですが、「見込み」はあくまで「見込み」ですので、実際に支払ったお給料とは差が生じます。見込みよりもお給料が少なければ労働保険料は払い過ぎたことになりますし、多ければ納め足りないことになります。
この、昨年度の精算と、今年度の「見込み」で労働保険料を納付する手続きを同時にするのが、「年度更新」です。保険料を正しく納めるために、必要な手続きというわけです。
納付を怠ると、最悪の場合、延滞金などのペナルティが発生します。
だからこそ、早いうちから計画的に準備を進めることが大切です。
封筒が届く前から準備は可能
労働保険年度更新の受付期間は、例年6月1日から7月10日まで。
日付はその年の暦により後ろ倒しになることがあり、今年は6月2日(月)から7月10日となります。
労働保険料は前年4月1日から当年3月31日までの賃金総額に基づいて算出します。
つまり、3月31日までの給与額が確定した段階で、もう労働保険の年度更新の準備は始められるというわけです。
まず行いたいのは、以下の確認です。
プロフィール
和久 明 わく社会保険労務士事務所(https://waku-sr.com)
小規模な専門書出版社で勤務ののち、社員15万人超の運輸業で社会保険手続き・給与計算・年末調整・業務改善・ライフプランセミナー講師を15年以上にわたり経験。
自身が出版社勤務時代、育児休業制度を知らず取得できていないことから、「知らない人に制度を広めたい!」と社会保険労務士を志す。いつも忙しく手が足りない中小企業の、法改正のキャッチアップ&フォロー、社員の働きやすさ実現、業務の見える化支援に取り組んでいる。東京社会保険労務士会会員。
両立支援コーディネーター、ファイナンシャル・プランナー(AFP)。
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