法定労働時間および時間外労働の上限は全ての事業・業種で同じですか

公開日:2012年2月13日
Q.法定労働時間および時間外労働の上限は全ての事業・業種で同じですか
A.法定労働時間には特例措置があり、商業、映画(製作の事業は除く)・演劇業、保健衛生業及び接客娯楽業で、常に10人未満の労働者を使用している場合は、1週間の法定労働時間は44時間となります。 また、時間外労働時間の上限は厚生労働大臣が定める基準によりますが、次の事業・業種については適用されません。
 ①工作物等の建設の事業、②自動車の運転の業務、
 ③新技術、新製品等の開発研究の業務、④その他厚生労働省労働基準局長が指定するもの

 

解 説

1.法定労働時間は、原則として1週40時間、1日8時間です。しかし、公衆の不便を避けるために必要なもの、その他特殊の必要のあるものとして、上記事業・業種は、1週間の法定労働時間は44時間になります。なお、「常に10人未満の労働者を使用」とは、常に10人未満か通常は10人未満でも繁忙な時期だけ10人を超える場合等のことです。また、特例措置により、1週間の労働時間が44時間とされても、1日の労働時間は8時間で変わりません。

2.時間外労働は、36協定を締結することにより行うことができますが、その限度時間は下表のとおりです。しかし、上記事業・業種については適用されません。 なお、上記④の厚生労働省労働基準局長が指定するものは、季節的要因や公益的な業務のため、一定期間内に集中的に作業を行う必要がある事業・業種のため適用を除外されています。ただし、これらは、一定期間だけ繁忙なため、1年間という期間の中ではその過重さも吸収されるためです。したがって、1年間の限度基準は適用になります。 【季節的要因等により事業活動もしくは業務量の変動が著しい事業もしくは業務】 ・鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業 ・造船事業における船舶の改造または修繕に関する業務 ・郵便事業の年末・年始における業務 ・都道府県労働局長が厚生労働省労働基準局長の承認を得て地域を限って指定する事業または業務 【公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務】 ・電気事業における発電用原子炉およびその付属設備の定期検査並びにそれに伴う電気工作物の工事に関する業務 ・ガス事業におけるガス製造設備の工事に関する業務

Point

・法定労働時間の特例措置は、対象となる事業・業種であっても、常に10人未満の労働者を使用している場合に限られます。
・時間外労働の限度時間は、恒常的な長時間労働を規制するためですが、適用除外となるのは、事業・業種の性格から、限度時間の規制に馴染まないためです。 〈PSR正会員 川田 陽一〉

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