このたび、外国人労働者数の急増を背景に、外国人雇用のガイドラインとなる「外国人雇用管理指針」(正式には「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」)が改正され、令和8年5月29日に公布されました。
本指針は本年6月14日から令和9年4月にかけて、段階的に適用されます(※令和8年6月14日、10月1日(予定)、令和9年4月1日(予定))。
改正の中身そのものは、すでに多くの記事で紹介されています。
そこで本コラムでは、改正前に行われた議論を見ていきたいと思います。何が論点となって、どのように意見が割れて、最終的にどこへ着地したのか。改正の輪郭や意味は、それらを調べることでより明確になると考えています。
議論の主戦場は、厚生労働省の「外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第12回、第13回)」と「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会(第107回、第108回)」とにありました。
議論の出発点は「秩序ある共生社会」の実現
外国人材は、人口減少による人手不足のもと、多くの現場で不可欠な戦力となっています。同時に、技能実習制度に代わる育成就労制度が令和9年4月に本格施行されるのを控え、外国人を労働力としてだけでなく、生活者として迎える局面に入っています。
一方で、一部の悪質な事業主によるルール逸脱や、偽造在留カードの利用といった問題も指摘されています。そうなると、ルールを守る大多数の事業主が、かえって不公平感や不安を抱きかねないことが懸念されます。
日本人と外国人が安全・安心に働き暮らせる、「秩序ある共生社会」を構築・実現していくためのこれら課題が浮き彫りになったことが、今回の指針の見直しの議論のきっかけとなりました。
検討会での論点3つ
プロフィール
大塚陽太郎
大塚社会保険労務士事務所(https://www.sr-otsuka.tokyo/) 社会保険労務士
約30年間、厚生労働省にて雇用の安定に向けた取組に多様な立場で関わる。コロナ禍での技能実習生の援助や、労働者派遣事業・職業紹介事業の指導監督を通じ、第一線の課題を把握しつつ事業適正化に取り組む。障害者雇用の制度運営や、職業訓練施策の企画にも携わる。
令和7年3月に厚労省を早期退職し、5月に社会保険労務士事務所を開設。オーダーメイドでの支援、経営者・従業員がともに輝く職場づくり、丁寧・迅速がモットー。

【人事担当者のための外国人雇用の制度と実務】









