厚生労働省は、法定雇用率の引き上げによる量的拡大に加えて、「雇用の質の向上」を目指しています。
雇用の質を向上させるためには、担当業務の公平公正な評価を行うことと、障害のある社員が自身のキャリアプランを考えることも重要です。そのためにおさえておきたいポイントとアプローチについてお伝えします。
「できること」を起点に評価を考える
社員のパフォーマンスを維持向上させるためには、働きぶりを公平公正に評価し、適切に給与に反映することが大切です。
図のように2つのリンゴを見たとき、多くの人が右の食べかけのリンゴが気になると思います。一般的に、人間は欠けたものに注意が向く傾向があります。何ができないかではなく、「何ができるか」「どのように成長したか」に注目することは、特に障害のある社員の評価を考える際に必要な視点です。
図 2つのりんご

評価制度の整備にあたっては、あらかじめ「期待する成果」と「行動目標」を明示し、定期的な振り返りの場(フィードバック面談)を設けます。このステップを踏むことで、障害の有無に関係なく社員のエンゲージメントが向上します。
連載:人材不足時代の障害者雇用は毎月更新いたします。
- 経営戦略としての障害者雇用とその基本
- 障害者雇用関連法と企業の責務
- 障害者の採用戦略
- 障害者社員の職場定着の方法
- 合理的配慮〜制度の理解と実務に役立てる工夫〜
- 職場環境整備のポイント
- 精神障害者・発達障害者の雇用と留意すべき点
- 障害のある社員の休職・復職支援と雇用管理
- 障害者雇用の事例から学ぶ成功のポイント
プロフィール
木下文彦
ラグランジュサポート株式会社(https://lagrange-s.com/) 代表取締役
特定社会保険労務士、中小企業診断士
前職では主に法人営業および営業企画に従事し、人事部では障害者雇用部門の責任者として、採用・定着・教育研修・評価など全社70 名の雇用管理全般を統括した。
独立後は企業に対する障害者雇用コンサルティングを展開し、障害者雇用促進を通じて、障害の有無にかかわらず社員がここで働きたいと思える会社づくりを支援している。











