【専門家の知恵】採用難の時代だからこそ! 自社で働いていた人を再雇用する制度を知ろう

公開日:2023年12月25日

採用難の時代だからこそ!

自社で働いていた人を再雇用する制度を知ろう


<いろどり株式会社社会保険労務士事務所 内川真彩美/PSR会員>

 

再雇用というと定年後再雇用をイメージする方も多いと思いますが、採用難の近年注目されているのが、かつて自社で働いていた人を再雇用する制度です。

「カムバック制度」「ジョブリターン制度」「アルムナイ制度」などとも呼ばれています。

人材確保や育児・介護・病気との両立支援としても有効な制度として紹介されることが多く、この制度の導入・利用を助成金の対象としている自治体もあります。そこで今回は、再雇用制度(以降、「カムバック制度」)のポイントを紹介します。

 

カムバック制度のメリット・デメリットとは

現在、働き方が多様化し、ワークライフバランス推進のための取り組みが広がってきています。とはいえ、様々な事情から仕事を継続することが難しく、「やむを得ず退職する」という選択をする方も存在します。

仕事に復帰できる状況になったときに自社に戻ってきてもらう制度には、様々なメリットがあります。厚生労働省が企業に対して行った調査では、再雇用制度のメリットや効果として「退職前に培った業務経験を活かして働いてもらうことができる」「不足した人材を確保することができる」「会社への愛着を持った人を雇用することができる」「教育コストを抑えることができる」といった回答が挙がりました。採用コストや教育コスト、ミスマッチを考えると、自社のことを理解している人に戻ってきてもらうことには大きなメリットがあります。また、転職や起業、留学など、自社の外の世界を経験した方を再雇用することで、新しい知識や経験を取り入れることも可能です。

従業員側から見ても、ミスマッチを防ぎやすい上、再就職へのハードルが下がります。大学に入り直したい、起業に挑戦したい、のような個人のキャリアプランや人生目標の実現の後押しにもなり得ます。

また、これらの制度は、病気治療や家族の介護が必要になったときにも有用です。

病気治療や介護は状況も変わりやすく終わりが見えないため、時短勤務などの制度を使えば仕事を続けられるのか、休職をすべきか、退職すべきかなど、仕事との両立の計画が立てにくいと言われています。そういった方にとっては、自社にカムバック制度があることが、「退職の選択をしても戻ることができる」という安心感にも繋がります。

一方、その方の辞め方や再雇用時の待遇によっては、その方が戻ってくることで既存従業員のモチベーション低下や社内の雰囲気悪化というデメリットも考えられます。

 

カムバック制度導入のポイント

<対象者を定める>

まずは制度の対象者を決めましょう。例えば、解雇した方も対象者にするのは会社にとってメリットがありません。退職後20年経過した人に戻ってきてもらっても、期間が空きすぎてかつての技術が通用せず、新卒社員と同等の戦力にしかならない可能性もあります。

このように、退職した全員を対象者にすることにはリスクがあります。まずは会社としてカムバック制度に何を求めるのかを明確にします。その上で、退職理由を絞る、退職後の期間を定める、退職時の年齢や勤続年数を定めるなど、カムバック制度を利用できる対象者を定めましょう。

<再雇用の条件を定める>

会社も人も変化していきます。そのため、再雇用の対象だから無条件で再雇用するのではなく、面接や面談を経て、再雇用可否の判断を行うことを推奨します。そのため、再雇用を認める条件を考えておくことが大切です。

また、再雇用後に元の部署に戻すのか、給与などの待遇はどうするかも、定めておいた方がよいでしょう。

「再雇用=待遇などはそのままに無条件で復職できる」と思い込む方が出ることも否定できませんので、「再雇用の権利はあるが再雇用するかは面接を経て判断する」「再雇用時の条件は退職時のものとは限らず再雇用時の状況から判断する」のようなことをきちんと明文化しておくことが必要です。

<現在の会社の状況をきちんと説明する>

再雇用時、取扱商品や社内体制、社内制度が退職時と大きく変わっていることも考えられます。それによるミスマッチを防ぐため、退職した時とどう変化しているのか、現在の会社の状況がどうなっているのかなどを事前に説明しておきましょう。

会社によっては、再雇用制度の対象者には定期的に会社の状況を連絡し、それを踏まえた上で再雇用の応募をしてもらっているところもあります。
 
採用難、そして生活や考え方が多様化している今だからこそ、人材確保の施策の1つとしてカムバック制度を考えてみるのはいかがでしょうか。

 

プロフィール

特定社会保険労務士 内川真彩美

いろどり社会保険労務士事務所(https://www.irodori-sr.com/)代表 

成蹊大学法学部卒業。大学在学中は、外国人やパートタイマーの労働問題を研究し、卒業以降も、誰もが生き生きと働ける仕組みへの関心を持ち続ける。大学卒業後は約8年半、IT企業にてシステムエンジニアとしてシステム開発に従事。その中で、「自分らしく働くこと」について改めて深く考えさせられ、「働き方」のプロである社会保険労務士を目指し、今に至る。前職での経験を活かし、フレックスタイム制やテレワークといった多様な働き方のための制度設計はもちろん、誰もが個性を発揮できるような組織作りにも積極的に取り組んでいる。

 

 

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