【専門家の知恵】業務委託契約について

公開日:2022年3月17日

 <社会保険労務士法人ステディ 瀧本旭/PSR会員>

 はじめに

 新型コロナ感染拡大により、働き方が大きく変わってきている。デリバリーサービスに代表されるギグワーカー(ネット経由で企業や個人からの仕事を単発で請け負う)、いわゆる業務委託契約が注目を集めているが、トラブルも散見される。
 業務委託契約をめぐるトラブルについて、ポイントを整理する。

 

業務委託契約とは

 務委託契約とは「何らかの業務を外部の企業や個人に頼むときに締結する契約」を指すが、その多くは民法に定める典型契約のうち「請負契約」あるいは「準委任(委任)契約」に該当する。請負契約と準委任(委任)契約の主な内容を比較する。

 

 

労働契約との違い

 業務委託契約は、人を雇用する労働契約と比べて発注者である企業が追う責任(解雇・残業代支払い・社会保険加入等)が明確に異なる。

 そのため、これらのリスク回避のために業務委託契約を用いる、いわゆる「偽装請負(=請負契約と偽っているが実質的には労働契約)」の問題が付きまとっているのも実状ではないだろうか。
 業務委託契約として適正に判断されるための主な注意点をいくつかご紹介したい。

 

労働者性

  時給で報酬を支払っている、労働時間や就業場所、仕事の進め方等に自由な裁量がない等、実態としては業務委託が否定され労働契約が認められた場合、たとえ業務委託契約書があっても実質的労働者と認定され、残業代支払いや社会保険等の加入義務が発生する。

 

報酬(委託料)

 業務委託契約は対等の関係であるはずだが、実態は業務を発注する側と発注される側との

 関係性から報酬(委託料)が不当に抑制されていることがある。
 結果、不平不満がたまり、実質的には労働者であり残業代の支払いが必要だと主張されることにもつながりかねない。
 むしろ、創意工夫により効率よく業務をこなすことによってより多くの報酬を手にすることができることも業務委託契約の魅力である。

 

まとめ

  昨今の多様化する働き方の流れもあり、業務委託契約の増加が見込まれるが(副業については労働契約でなく業務委託契約で行われるものが少なくない)、まだまだ問題も多い。しかしながら、世の中の流れが自由で裁量のある働き方にシフトしていくのは間違いなく、発注側の企業も発注される側の個人も適用にかつ有効に業務委託契約を利用していくべきだろう。

  

プロフィール

社会保険労務士法人ステディ 
代表社員瀧本 旭
https://steady-sr.com/
大学卒業後、トラック運転手や社会保険労務士事務所での勤務を経て、2013年10月社会保険労務士たきもと事務所を設立。2018年10月、社会保険労務士法人ステディとして法人化。
ビジョンに、社員の満足度向上あってこそ顧客にベストなサービスを提供できるとの考えから、「働き方満足度日本一の事務所」を掲げている。

 

 

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