育休中の社会保険料の免除要件が見直されました

公開日:2022年12月20日

  今年の10月から、健康保険・厚生年金保険の育児休業等中の保険料の免除要件が見直されたことをご存じですか?

 改正の概要は次のとおりです。
その1 毎月の報酬にかかる保険料の免除について
 育児休業等の開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの保険料が免除となる制度ですが、改正前は、開始日の属する月と終了日の属する月が同一の場合、終了日が同月の末日である場合を除き免除の対象となりませんでした。
 しかし、改正後(今年の10月以降に開始した育児休業等)については、育児休業等開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合にも免除されることになりました。

その2 賞与にかかる保険料の免除について
 改正前は、育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与にかかる保険料が免除の対象でした。
 しかし、改正後(今年の10月以降に開始した育児休業等)については当該賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り、免除の対象とすることとされました。

 その1は要件の緩和、その2は要件の厳格化が行われた改正となっています。

 その1については、改正育児・介護休業法により、出生時育児休業が創設されたり、育児休業の分割取得が認められることになったため、短期間の育児休業等の取得が想定されることから、それに対応したものと思われます。
 なお、出生時育児休業の期間中も、通常の育児休業と同様に、要件に該当すれば、保険料の免除の対象となります。

 その2については、改正前は、育休が短期間であるほど賞与保険料の免除を目的として、賞与の支払月に育児休業等の取得が多いといった偏りが生じていた可能性があるため、連続して1か月を超える育児休業等の取得者に限り、賞与にかかる保険料の免除の対象にすることにしたものです。

 改正前のように、“賞与の支払月の月末が含まれるように少しだけ育児休業を取得すれば賞与にかかる保険料が免除される”という取り扱いではなくなったことに注意しましょう。


 なお、その1では「14日以上の育児休業等」、その2では「連続した1か月を超える育児休業等」が免除の要件に加わりますが、その日数・期間の算定にあたり、休日などはどのように取り扱うのでしょうか?

 厚生労働省の見解は次のとおりです。
●育児休業等の日数(育児休業等日数)の算定にあたり、休日は含めるのか?
(答)育児休業等日数は、ある育児休業等の開始日から終了予定日までの日数(出生時育児休業の場合は、その日数から就業日数を除いた日数)をいい、その間に土日等の休日、有給休暇など労務に服さない日が含まれていても、育児休業等日数の算定に当たり差し引くことはしない(育児休業等日数に含まれる)。

●育児休業等の期間(育児休業等期間)の算定にあたり、休日は含めるのか?
(答)賞与保険料の免除の基準となる「1月超」は、暦日で判定することとしており、土日等の休日であっても育児休業等期間の算定に含まれる。

 実務上は、さまざまなケースがあると思われますが、それに対応すべく、厚生労働省が細かな取り扱いを示しています。
 疑問に思う点がでてきたら、次のQ&Aを確認してみるとよいでしょう。

〔参考〕全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法等の改正内容の一部に関するQ&Aの送付について
≫ https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220413S0010.pdf

 

 

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