障害のある社員の休職・復職支援は、基本的には障害のない社員と同じですが、本人が持つ特性によっては一部異なる配慮が求められる場合があります。
今回は、障害のある社員の休職・復職時の雇用契約の見直しや段階的復帰における労働条件設定について、具体的なポイントを解説します。
予防が最大のポイント
障害のある社員の休職を未然に防ぐ最大のポイントは、日常的なフィジカルとメンタル両面の健康管理にあります。まずは、定期的な健康診断と面談が重要となります。また、日頃から気軽に話せる関係性を築くための声かけも大切です。
例えば、精神障害のある社員であれば、業務負荷の変化がストレス要因になりやすいため、業務量の段階的調整や上司・同僚とのコミュニケーション改善が有効な対策となります。障害特性に応じて、勤務内容や環境を調整することが有効です。
このように、日常業務の中で違和感や変化に早期に気づける取り組みが、休職を未然に防ぐ上で非常に重要となります。
さらに、定期健康診断や年1回のストレスチェックだけでなく、後述するように産業医や主治医、ジョブコーチ(職場適応援助者)、外部支援機関と連携したサポート体制を構築することで、より安心な職場環境を築くことができます。
就業規則などに基づく適切な対応
連載:人材不足時代の障害者雇用は毎月更新いたします。
- 経営戦略としての障害者雇用とその基本
- 障害者雇用関連法と企業の責務
- 障害者の採用戦略
- 障害者社員の職場定着の方法
- 合理的配慮〜制度の理解と実務に役立てる工夫〜
- 職場環境整備のポイント
- 精神障害者・発達障害者の雇用と留意すべき点
プロフィール
木下文彦
ラグランジュサポート株式会社(https://lagrange-s.com/) 代表取締役
特定社会保険労務士、中小企業診断士
前職では主に法人営業および営業企画に従事し、人事部では障害者雇用部門の責任者として、採用・定着・教育研修・評価など全社70 名の雇用管理全般を統括した。
独立後は企業に対する障害者雇用コンサルティングを展開し、障害者雇用促進を通じて、障害の有無にかかわらず社員がここで働きたいと思える会社づくりを支援している。