年次有給休暇(以下、「年休」)制度ほど、管理職が判断に迷う制度はないかもしれません。
「年間5日間の年休付与が義務付けられたのに、どうしても年休を取らない社員がいる」
「計画付与制度を導入したが、計画付与日に年休がない社員はどうしたらよいかわからない」
「パート社員の年休は極力与えたくない」
と言った悩みが生じます。
一方で、社員から見ると「年休は権利なのだから自由に取得できるはずだ」という認識があります。そのため、管理職の何気ない一言が、「年休を取得させてもらえない会社だ」「上司から圧力を受けた」と受け取られ、労務トラブルへ発展することも少なくありません。
しかし、会社経営という立場で考えれば、社員がいつでも自由に休めればそれでよいというものでもありません。
一人が休めば、その業務を誰かが引き継がなければなりません。納期や工期が決まっている仕事では、休暇の取得時期によっては会社全体へ大きな影響を及ぼすこともあります。
従って、会社として重要なのは、年休を取得させるか否かではなく、年休を取得しても仕事が回る組織をつくることです。ですから、管理職には、法律上のルールを理解するとともに、職場運営という視点から年休制度を考えることが求められます。
本稿では、実務で特に相談の多い事例を取り上げながら、年休制度の基本的な考え方と、管理職として押さえておくべき実務上のポイントについて解説していきます。
計画的付与
<事例>
会社がお盆期間の3日間を「年休の計画的付与日(一斉休業)」と定めました。
しかし、入社したばかりで残日数が少ない若手社員に対し、会社は「年休が足りない分の休みは無給の欠勤扱いにする」と通知し、不満が噴出しました。
また、別の会社では、育児のために年休取得が必要であったため、計画的付与日時点で残りの年休が5日を切ってしまった女性社員から、今後も育児のための年休を残しておきたいのでどうしたらよいかとの質問を受けました。
<法的な考え方>
労基法第39条第6項に、過半数労働組合又は労働者の過半数代表との間での労使協定により、5日を超える年休について計画的付与を認めています。
プロフィール
寿限無(じゅげむ)経営コンサルティング 代表 福田惠一
金融機関にて営業・融資を担当後、同総合研究所で人事金制度構築コンサルの経験を積み、退職後「寿限無経営コンサルティング」を開業。上場会社総務顧問も経験。経営の観点と社員の双方にとっての望ましい労使関係構築支援のため、人事・賃金・考課制度の整備、人事労務トラブル対応、紛争予防のための社内規程整備、マネジメント研修・ハラスメント研修等社員各層への研修、各種助成金申請支援等に注力。
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