【専門家コラム】障害者雇用の「除外率」引き下げとは?企業経営への影響と実務対応ポイント

公開日:2026年1月14日

 

 

障害者雇用の「除外率」引き下げとは?企業経営への影響と実務対応ポイント


<コンサルティングハウス プライオ 代表 大須賀信敬/PSR会員

 

企業が障害者を雇用する際に適用になることがある「除外率」。2025年4月からこの数値が改正された。その結果、一部の企業で障害者雇用に関し、従前とは異なる法定義務への取り組みが必要になっている。

そこで今回は、障害者雇用に設けられている「除外率制度」の仕組み、改正の影響などについて整理してみよう。

障害者の雇用義務を軽減する「除外率制度」

現在、常時雇用する労働者(以下「従業員」)の人数が40人以上の企業には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務が課されている。これを「障害者雇用率制度」といい、民間企業であれば従業員数の2.5%に相当する障害者を雇用しなければならない。国・地方自治体、都道府県などの教育委員会に課される義務は民間企業よりも重く、それぞれ2.8%、2.7%に相当する障害者を雇用する義務がある。

なお、「障害者雇用率制度」には障害者の雇用義務を軽減できる「除外率制度」という仕組みも用意されている。この制度は障害者の就業が一般的に困難と認められる業種について、除外率と呼ばれる数値を用いて障害者の雇用人数を低減できる仕組みである。除外率は障害者の就業の困難さに応じ、業種ごとに定められている。

具体例で考えてみよう。例えば、従業員数1,000人の民間企業が雇用すべき障害者の人数は、通常であれば以下のように計算される。

従業員数×法定雇用率

=1,000人×2.5%

25

従って、従業員数が1,000人であれば、25人の障害者を雇用することが原則的な法定の義務とされる。

それでは、上記企業が障害者の就業が困難と認められる業種を営んでおり、除外率は40%と定められていたらどうだろうか。この場合には、当該企業が雇用すべき障害者の人数の計算は、次のとおりに変わる。

(従業員数-除外率に相当する従業員数)×法定雇用率

=(1,000人-1,000人×40)×2.5%

=(1,000人-400人)×2.5%

=600人×2.5%

15

当該企業の障害者の雇用義務は、除外率40%が適用されることにより25人から15人に緩和されることになるわけである。

 

「除外率制度」は廃止の途上

実は、障害者雇用の除外率制度は、2002(平成14)年の法改正の際、段階的に廃止することが決定された。その後、除外率の改正が2004(平成16)年4月、2010(平成22)年7月と2度にわたって実施され、各業種に適用される割合がその都度引き下げられている。

通算3度目に当たる2025年4月の改正では、除外率を設定された全業種について一律10ポイントの引き下げが行われた。業種ごとの改正前後の除外率は、下表のとおりである。

 

プロフィール

コンサルティングハウス プライオ 代表 大須賀 信敬

(組織人事コンサルタント/中小企業診断士・特定社会保険労務士)

コンサルティングハウス プライオ(http://ch-plyo.net)代表

中小企業の経営支援団体にて各種マネジメント業務に従事した後、組織運営及び人的資源管理のコンサルティングを行う中小企業診断士・社会保険労務士事務所「コンサルティングハウス プライオ」を設立。『気持ちよく働ける活性化された組織づくり』(Create the Activated Organization)に貢献することを事業理念とし、組織人事コンサルタントとして大手企業から小規模企業までさまざまな企業・組織の「ヒトにかかわる経営課題解決」に取り組んでいる。一般社団法人東京都中小企業診断士協会及び千葉県社会保険労務士会会員。

 

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