障害者雇用を進めるうえで、「環境整備」は欠かせないテーマです。単に法律を守るためだけではなく、障害のある社員が安心して能力を発揮できる職場をつくることは、結果として企業全体の生産性向上や離職防止にもつながります。
特に最近は、障害のある社員だけでなく、誰もが働きやすい「ユニバーサルな職場環境」の整備が求められています。
今月は、障害者雇用を意識したオフィス設計や環境整備の具体的なポイントを紹介します。
合理的配慮とユニバーサルデザイン
2024年4月より、民間企業も「合理的配慮の提供」が法的な義務となりました。
合理的配慮とは、障害のある人が企業で活躍できるようにするための職場環境の調整です。障害のある人の要望に応じて、過重な負担とならない範囲で個別的に職場環境の調整を行います。調整には、オフィスレイアウトなどのハード面と、定期的な休憩の取得などのソフト面の両方を含みます。
一方で、特定の人に配慮するだけでなく、誰にとっても使いやすい「ユニバーサルデザイン」を取り入れることで、働きやすい職場づくりが可能になります。たとえば、高さ調整ができる机や、視認性の高いサイン表示などは、障害のある社員だけではなく妊娠中の社員やシニア社員など多様な社員にとっても働きやすい環境となります。
オフィスレイアウトの工夫
連載:人材不足時代の障害者雇用は毎月更新いたします。
プロフィール
木下文彦
ラグランジュサポート株式会社(https://lagrange-s.com/) 代表取締役
特定社会保険労務士、中小企業診断士
前職では主に法人営業および営業企画に従事し、人事部では障害者雇用部門の責任者として、採用・定着・教育研修・評価など全社70 名の雇用管理全般を統括した。
独立後は企業に対する障害者雇用コンサルティングを展開し、障害者雇用促進を通じて、障害の有無にかかわらず社員がここで働きたいと思える会社づくりを支援している。