「第2回 フレックスタイム制の労使協定で成功と失敗を分けた『問い』」では、フレックスタイム制の導入をめぐる2つの場面を通して、同じ「不公平ではないか」という懸念が出ても、進め方次第で表面的な合意にも、納得を伴う合意にもなり得ることを見てきました。
最終回となる今回は、その結論の違いを生む「共通認識」と「対立点」の整理という基本フレームと、人事総務部門が労使の合意形成を支えるための視点を、実務で使えるヒントとしてお伝えします。
納得を伴う合意を形成するには何が必要か?
前回の記事(第2回 フレックスタイム制の労使協定で成功と失敗を分けた『問い』)ででは、フレックスタイム制の導入をめぐって、同じ状況から出発しながら、最終的には全く違う流れになっています。あえて、記事では結論を明記しませんでしたが、どちらのケースも、最終的には「フレックスタイム制を導入する」という同じ結論にたどり着きうるケースです。
しかし、1つ目のケースは、表面上合意していても、真に納得が伴っていないことは明らかです。そのような場合に無理に導入すると、不満が一気に表面化しかねません。この点についてはご理解いただけると思います。2つ目のケースは、代表者が反対をする理由がなくなり、労使双方が納得の上、「フレックスタイム制を導入する」という結論に至る可能性が高いケースです。
では、なぜ、後者の事例は、労使双方の納得の上での合意へ至る流れになったのでしょうか。
後者の事例では、人事部の社員が、会社の導入目的を質問することで、労使双方で「認識のズレ」が生じていそうな点に光を当てました。次のパートでは、この場面の背景にある「共通認識」と「対立点」を意識して議論を整理するという、合意形成の基本フレームについて解説します。
合意形成の基本フレーム:「共通認識」と「対立点」を整理する
プロフィール
小嶋裕司
特定社会保険労務士
フェスティナレンテ社会保険労務士事務所(https://www.festinalentesroffice.com/) 代表
就業規則関連業務で99%超の専門社労士。ファシリテーション技術を活用し、社内の反発を受けることなく、新制度へのスムーズな導入までを支援している。ファミリービジネスの家族会議や、親会社の出向役員の同意を要するグループ会社、株主への説明が求められる企業など、多様なケースの合意形成を支援している。ファシリテーションの技術は、実践と理論の両面から磨きを重ねてきた。社内ビジョン浸透の3,000人対話集会を行った中島崇学氏のもとで実践を通じて学び、「青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー育成プログラム」で理論的にも深め、現在は人事労務の合意形成に活かしている。

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