2025年の税制改正および健康保険の制度改正により、2025年10月から「19歳以上23歳未満の大学生年代の子等」の扶養に関する取り扱いが大きく変わります。年末調整や社会保険の手続きにも影響するため、人事労務担当者は今のうちから正しい知識を押さえ、従業員への案内準備を進めておく必要があります。
取り扱い変更の背景
2025年の税制改正では、就業調整への対策として、「19歳から23歳未満の大学生年代の子等の給与収入が150万円以下なら親等が特定扶養控除を受けられ、150万円超188万円以下までは段階的に特定親族特別控除がうけられる」という控除の要件の見直しと新たな控除の創設がされました。
この改正が有効になるためには、健康保険の被扶養者認定の条件の緩和も必要になることを踏まえ、厚労省も2025年10月1日からの取り扱いの変更を定め、協会けんぽ・健康保険組合に向け「19 歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について」の通知を発出することとなりました(原稿執筆段階では、2025年6月15日までパブリックコメントで意見募集中)。
2025年10月からの健康保険の被扶養者の認定条件の変更点
プロフィール
北條孝枝
株式会社ブレインコンサルティングオフィス 社会保険労務士
メンタルヘルス法務主任者 情報セキュリティマネジメント試験合格者
会計事務所で長年に渡り、給与計算・年末調整業務に従事。また、社会保険労務士として数多くの企業の労務管理に携わる。情報セキュリティについての造詣も深く、近年は実務担当者の目線で、企業のマイナンバー制度や個人情報保護法対応の社内整備や運用の最適化・業務効率化について取り組むとともに、実務に即したマイナンバーや改正個人情報、働き方改革などの企業対応に関する講演も多数行っている。
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