全国の会社の給与担当者にとって大切な作業である、新年度の住民税の給与天引き事務について、前編では、5月に各市町村から送られてくる住民税決定通知書の確認から始まって、従業員への通知、給与からの天引きまでを順に見ていきました。
後編では、市町村への納付や途中入社・退社の従業員の処理、従業員からのよくある質問やその対応例について解説していきます。
住民税の納付手続き
給与から天引きした住民税は、翌月10日までに市町村に納めます。6月分の住民税なら7月10日が納付期限です。納付期限が土日祝に当たる場合は、翌営業日が期限になります。一般的には6月分の住民税が年間でもっとも高額なため、しっかり確認して納付手続きを行いましょう。
納付方法は、従来の納付書による銀行窓口での支払いに加えて、電子納税システム(eLTAX)を使った電子納付も広がってきています。
各市町村への納付状況を適切に管理するため、納付管理台帳を作成することをおすすめします。市町村別、月別の納付額と納付日を記録し、領収書や電子納付の受付票と照合できるよう整理しておきます。
こうした住民税関連の書類は適切に保管する必要があります。税務関連の文書保存は通常7年とされていますが、住民税の税額通知書については特に保管期限が定められていません。7年間保管しておけば問題ありませんが、スペースや個人情報保管の関係で長期の保存を避けたい場合は、PDFで保管する、あるいは翌年5月の給与天引き終了までは保管しておく、など会社でルールを定めましょう。
途中入社・退社の従業員の処理
プロフィール
和久 明 わく社会保険労務士事務所(https://waku-sr.com)
小規模な専門書出版社で勤務ののち、社員15万人超の運輸業で社会保険手続き・給与計算・年末調整・業務改善・ライフプランセミナー講師を15年以上にわたり経験。
自身が出版社勤務時代、育児休業制度を知らず取得できていないことから、「知らない人に制度を広めたい!」と社会保険労務士を志す。いつも忙しく手が足りない中小企業の、法改正のキャッチアップ&フォロー、社員の働きやすさ実現、業務の見える化支援に取り組んでいる。東京社会保険労務士会会員。
両立支援コーディネーター、ファイナンシャル・プランナー(AFP)。