HOME 実務解説 就業規則・労務問題 妊娠や出産、育児休業等の取得を理由とする解雇への対応について

妊娠や出産、育児休業等の取得を理由とする解雇への対応について

現下の雇用労働情勢を踏まえた妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業等の取得等を理由とする解雇その他不利益取扱い事案への厳正な対応等について

世界的な金融危機の影響等により雇用情勢は急速に悪化しつつある状況の中、妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業等の申出又は取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いの増加を懸念されています。 平成20年度について、平成21年2月末までの状況を緊急に調査した結果、育児休業に係る不利益取扱いに関する労働者からの相談は、最近5年間増加傾向にあり、今年度に入ってからも増加傾向にあるということが分かりました。また、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いに関する労働者からの相談についても、同様に最近5年間に渡って増加傾向にあります。 厚生労働省は、こうした状況を踏まえ、今般、妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業等の申出又は取得を理由とする解雇その他不利益取扱い事案について、各都道府県労働局長に対し、労働者からの相談への丁寧な対応、法違反の疑いのある事案についての迅速かつ厳正な対応、法違反を未然に防止するための周知徹底等に関する通達(平成21年3月16日付け地発第0316001号、雇児発第0316004号)を出して、これらの取り組みを徹底することとしました。 併せて、事業主向けリーフレットを作成し、事業主等に対する周知啓発に活用していくとしています。 関連する法律等を確認しましょう。

妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業等の申出をしたこと又は取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されています。(男女雇用機会均等法第9 条第3 項、育児・介護休業法第10 条)

具体的には、次のようなことが挙げられています。

  • 経営環境が悪化している場合であっても、労働者が妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業等の申出をしたこと又は取得をしたこと等(※)を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法で禁止されています。
    (※ の内容は以下のとおり)
    1. 妊娠したこと
    2. 出産したこと
    3. 母性健康管理措置を求めたこと又は受けたこと
    4. 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと、申出をしたこと又はこれらの業務に従事しなかったこと
    5. 産前休業を請求し、休業をしたこと又は産後の就業制限の規定により就業できず、若しくは産後休業をしたこと
    6. 妊娠中の女性が軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと
    7. 妊産婦が時間外・休日・深夜に労働しないことを請求し、又は労働しなかったこと
    8. 育児時間を請求し、又は取得したこと
    9. 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと
    10. 育児休業申出をしたこと又は休業したこと
    11. 介護休業申出をしたこと又は休業したこと
    12. 看護休暇申出をしたこと又は取得をしたこと
    13. 時間外労働の制限、深夜業の制限、勤務時間短縮等の措置を申し出たこと又は利用したこと
  • 禁止されている解雇その他不利益な取扱いの典型例は次のとおりですので、事業主の皆様におかれましては、解雇その他不利益な取扱いが禁止されていることを認識の上、これらの取扱いをしないようご留意下さい。
    (禁止されている解雇その他不利益な取扱いの典型例)
    1. 解雇すること。
    2. 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
    3. あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
    4. 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
      * 勧奨退職や正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更は、労働者の表面上の同意を得ていたとしても、労働者の真意に基づくものではないと認められる場合には、これに該当します。
    5. 不利益な自宅待機を命ずること。
    6. 降格させること。
    7. 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
    8. 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
    9. 不利益な配置の変更を行うこと。
      * 産前産後休業からの復帰に当たって原職又は原職相当職につけないことを含みます。
    10. 就業環境を害すること。
    11. 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。

注 これらは、あくまでも例示であり、これ以外の行為についても個別具体的な事情を勘案すれば、不利益取扱いに該当する場合もあります。 1~11については、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成18 年厚生労働省告示第614 号)より。 また、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成16 年厚生労働省告示第460 号)には1~7、9及び10を例示として記載。

産前産後休業の期間及びその後30 日間の解雇は、禁止されています。また、妊娠中・産後1 年以内の解雇は「妊娠・出産・産前産後休業取得等による解雇でないこと」を事業主が証明しない限り無効となります。(労働基準法第19 条、男女雇用機会均等法第9 条第4 項)

詳しくは最寄りの都道府県労働局雇用均等室までお問い合わせください。

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