
令和8(2026)年10月1日施行
法改正で求められるカスハラ対策
人事が押さえるべき実務ポイントを総整理
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近年、顧客等から暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為を受ける、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しています。
厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」(令和5年度)によると、過去3年間に各ハラスメントまたは不利益取り扱いに関する相談を取り扱った企業のうち、
- ハラスメントに関する相談があったと回答した企業割合は、パワハラ64.2%、セクハラ39.5%、顧客等から著しい迷惑行為(カスハラ)27.9%
- 相談があった事例のうち、企業がハラスメントに該当すると判断した事例の有無は、パワハラ73.0%、セクハラ80.9%、顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)86.8%
と回答しており、決して放置できる問題ではありません。
また、東京都では全国初となる東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が令和6(2024)年10月に成立し、令和7(2025)年4月1日から施行されるなど、自治体レベルでの取り組みも進んでいます。
こうした流れを受け、国においても法改正が行われ、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(いわゆる労働施策総合推進法)が改正されました。
これにより、令和8(2026)年10月1日から、事業主に対しカスタマーハラスメント防止措置を講じることが義務化されます。
改正法では、事業主に対して、
- 事象主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 相談体制の整備
- 事後の迅速かつ適切な対応
- 対応の実効性を確保するために必要なカスタマーハラスメントの抑止のための措置
- 併せて講ずべき措置(相談者等のプライバシーの保護、不利益取り扱いの防止)
といった措置を講じることが求められます。
これまでカスハラ対策は、「パワハラ防止指針」において望ましい取り組みとされてきましたが、今回の改正により、“努力義務的な位置づけ”から“法的義務”へと明確に転換された点が大きなポイントです。
カスハラ対策は、従業員保護の観点のみならず、企業のリスク管理・ブランド毀損防止の観点からも重要な経営課題となりました。
人事担当者には、改正法の内容を踏まえ、自社の相談体制・就業規則・社内方針等を総点検し、実効性のある体制整備を進めることが求められます。
企業に求められるようになってきたカスタマーハラスメント対策について、本特集では、予防策や体制づくり、カスハラ発生時の対応、再発防止などの取り組みに役立つ専門家コラム、研修コンテンツなど、随時最新情報を掲載していきます。
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法改正により、カスハラ防止措置の実施とともに、従業員への周知・理解促進が求められます。
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カスハラ関連の最新トピックス
カスハラ関連の最新の動きは「ニュース・法改正」でもご確認いただけます。
カスタマーハラスメント防止指針及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が告示されました(厚労省)(公開日:2026年3月2日) NEW!
いわゆるカスハラ防止措置に関する指針の案(令和8年10月1日適用予定)などを提示(労政審の雇用環境・均等分科会)(公開日:2026年1月21日)
カスハラ・求職者等に対するセクハラに関する指針の案などについて意見募集を開始(パブコメ)(公開日:2025年12月12日)
いわゆるカスハラ防止措置の義務化 「令和8年10月1日」から施行する案などを提示(労政審の雇用環境・均等分科会)(公開日:2025年11月18日)
[令和7年6月11日公布]ハラスメント対策の強化などを盛り込んだ労働施策総合推進法等の一部改正(公開日:2025年10月20日)
カスタマーハラスメントとは
職場におけるカスタマーハラスメントの定義
職場において行われる
① 顧客等の言動であって、
② その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるものであり、
④ ①~③までの要素をすべて満たすもの
※電話やSNS等のインターネット上において行われるものも含まれます。
※顧客等からの苦情の全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではありません。
また、障害者から不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、
社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること自体は、カスタマーハラスメントには当たりません。
出典:厚生労働省「令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」
カスタマーハラスメントに該当する行為の例
- 時間的拘束・・・1時間を超える長時間の拘束、居座り
- リピート型・・・頻繁に来店し、その度にクレームを行う、複数部署にまたがる複数回のクレーム
- 暴言・・・・・・大声での恫喝、罵声、暴言の繰り返し、店内で大きな声をあげて秩序を乱す
- 脅迫・・・・・・脅迫的な言動、反社会的な言動
- 権威型・・・・・優位な立場にいることを利用した暴言、特別扱いの要求
- 正当な理由のない過度な要求・・・言いがかりによる金銭要求、契約内容を超えた、過剰な要求、難癖をつけたキャンセル料の未払い・代金の返金要求
- セクハラ・・・・・特定の従業員へのつきまとい、従業員へのわいせつ行為や盗撮
カスタマーハラスメントの判断基準
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策マニュアル」によると、業種・業態、企業文化などの違いから、カスタマーハラスメントの判断基準は企業ごとに違いがでてくる可能性があるとしながらも、下記の2つの観点で判断することが考えられる、としています。
①顧客等の要求内容に妥当性はあるか
顧客等の主張に対し、まずは事実関係、因果関係を確認し、自社に過失がないか、根拠のある要求がなされているかを確認し、顧客等の主張が妥当であるかどうかを判断する。
②要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か
顧客等の要求内容の妥当性の確認と併せて、その要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲であるかを確認する。
なお、殴る・蹴るといった暴力行為は、直ちにカスタマハラスメントに該当すると判断できることはもとより、犯罪に該当するものである、としています。
【基礎知識】人事担当者が押さえておきたいカスタマーハラスメントの基本的な知識と対策のポイント
慎重な対応が求められるカスタマーハラスメント対策。会社としての基本的な対応基準を決めていく上で、カスハラと苦情(クレーム)の違い、どうカスハラ対応の準備を進めていくか、カスハラの法的視点など、人事担当者が知っておくべき基本的な知識とポイントを解説しています。
カスハラ対策の全体を押さえたい方はまずこちらからお読みください。
弁護士による実務解説:カスタマーハラスメントと企業の安全配慮義務
カスハラの判例から学ぶ「クレーム発生後の組織的対応力を強化するポイント」
クレーム対応業務の負荷を軽減することは安全配慮義務の内容となります。安全配慮義務の履行は、うつ病などストレス関連疾患の発症を予防することでもあります。
さらに、組織的対応をすることにより、カスタマーハラスメントへの発展を防止するだけでなく、従業員のパフォーマンスやモチベーションが向上するといえます。
カスハラの判例から考える「部下へのクレームに対し、管理職がとるべき行動」とは
顧客や取引先からのクレームは企業のコントロールの範囲外で起こるものであり、それだけでは直ちに使用者が安全配慮義務を負うわけではありません。
しかし、クレームにより労働者の就業環境が害されるに至った場合は、その変化に応じた安全配慮義務が発生します。そこで、判決を題材にクレーム発生時の対応方法を検証します。
カスハラ・パワハラをめぐる精神障害の労災認定基準の改正と企業の留意点
厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日基発0901第2号)では、別表1「業務による心理的負荷評価表」において、具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)や、心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例にパワーハラスメントの6類型すべての具体例が明記されています。
これは相談窓口での対応や従業員の教育など予防管理のツールとなり得るので、企業としては、補償面だけでなく、予防面においても活用を検討することが望ましいといえます。
本記事では、カスタマーハラスメントとパワーハラスメントに絞って認定基準と企業の留意点について解説します。
各専門家による実務解説:カスハラの現状とその影響
年々増加しているカスタマーハラスメント。その影響と対策方法とは
近年、カスタマーハラスメントの増加が注目されています。2020年にはカスタマーハラスメントに関する厚生労働省の指針が発表され、2022年には厚生労働省から「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が公開されたように、国もカスタマーハラスメント対策に乗り出しています。実際にカスタマーハラスメントが増加している調査結果も出ており、その他のハラスメントと同様に企業は対応を考える必要があります。
カスタマーハラスメント経験者が急増!?カスハラから従業員を守るための取り組みとは
カスタマーハラスメントを受けた従業員は、業務のパフォーマンスの低下を招くだけでなく、健康不良に陥る可能性が出てきます。そうなると、企業にとっても時間や人材を失うことで、本来のパフォーマンスを発揮できなくなるリスクがあるのです。企業はカスタマーハラスメントから従業員をどのように守ればよいのでしょうか。
各専門家による実務解説:カスハラから従業員を守るために
産業医が解説!カスタマーハラスメント対策は管理職の教育がカギになる
厚労省の職場ハラスメント調査では、パワハラ、セクハラ、カスハラのうち、カスハラのみが増加傾向にあり、またこのカスハラにより休職したり退職したりした人も無視できない人数がいるということが明らかになっています。
平成30年には裁判にもなっており、部下がカスハラを受けているにもかかわらず、上司がカスハラに適切に対応することなく、部下に対して顧客に謝罪するよう強いたことが問題になりました。
労働者が当該上司らに損害賠償を求め、裁判所はこれを認める判決を出しました。つまりカスハラは企業にとって決して座視できるものではないということです。
顧客からハラスメントやクレームを受けた従業員を守るためのマネジメント
2020年6月1日に施行された「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」は、事業主に対し、パワーハラスメントに関する相談体制の整備や、その他の雇用管理上の必要な措置を講じることを義務づけました。
これに対し、他の事業主が雇用する労働者からのハラスメントや顧客からの迷惑行為(カスタマー・ハラスメント)については、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(2020年1月15日厚生労働省告示5号/「パワハラ防止指針」)に定められるにとどまりました。企業は、顧客や取引先といった関係先からハラスメントやクレームを受けたとき、どのように対応すればよいのでしょうか。
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さらに、予防管理策として、クレーム解決だけでなく、顧客ロイヤルティ維持につなげるための体系的な取り組み「サービス・リカバリー・システム」の構築の仕方についても紹介しています。
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