【専門家コラム】カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化へ。企業が今すぐ取り組むべきこと《法改正》

公開日:2025年12月15日

 

カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化へ。企業が今すぐ取り組むべきこと《法改正》


<まき社会保険労務士事務所 代表 牧 あや/PSR会員

顧客や取引先からの不当な言動や要求を指す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が年々増加しており、従業員の精神的負担や離職につながる深刻な問題となっています。

こうした状況を受け、2025年6月、すべての企業にカスハラ対策を義務付ける法案が可決・成立しました。今後は企業規模を問わず、組織として適切なカスハラ防止策を講じることが求められます。

この記事では、カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義や、カスハラ対策義務化の流れとスケジュール、企業が行うべき具体的な対策について解説します。

カスタマーハラスメントとは

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などが従業員に対し、常識的に許容される範囲を超えた不当な言動を行うことを指します。暴言、理不尽なクレーム、過剰な要求、長時間の拘束などが代表例で、従業員の就業環境を大きく損なう行為として社会問題化しています。

日本には「お客様は神様」という文化が根強く残り、過度なサービス提供が当たり前となったことで、顧客側の要求水準が上昇してきました。さらに、SNSの発達やコロナ禍によるストレスの増加も、カスハラの発生を後押ししていると言われています。

 

公的な定義(厚生労働省・2024年)

以下の3要素をすべて満たすものをカスハラと定義しています。

1. 顧客・取引先など利害関係者が行う言動であること
2. 要求内容や手段が社会通念上相当な範囲を超えていること
3. 労働者の就業環境を害する結果をもたらすこと

 

どこからがカスハラなのか?(具体事例)

以下のような行為は、カスハラに該当する可能性が高いとされています。

① 暴力・暴行、物を投げつける
② 脅迫、恫喝、人格を否定する侮辱的発言
③ 土下座の要求
④ 長時間の拘束、不退去
⑤ 差別的発言や性的言動
⑥ 不当な金銭補償・商品交換の要求
⑦SNSでの誹謗中傷、晒し行為

これらは民事上の損害賠償だけでなく、威力業務妨害罪や脅迫罪などの刑事罰に問われる可能性もあります。

 

クレームとの違い

すべてのクレームがカスハラに該当するわけではありません。クレームは商品・サービスの改善につながる重要な意見であり、社会通念上妥当な要求かどうか、攻撃性があるかどうかが違いを判断するポイントとなります。

 

企業がカスハラ対策を行う必要性

 

プロフィール

牧 あや

まき社会保険労務士事務所(https://maki-sharoushi.com/) 代表

大学卒業後、社労士の資格に出会い、フルタイム勤務と育児を両立しながら2021年に合格。2022年、社労⼠事務所を開業。開業後は飛び込み営業+SNSを活用した集客でスピード感のある顧客開拓を行い、開業2年で関与した企業は200社超。就業規則・規程の作成実績は開業3年未満で100件を超える。
手続き・給与計算などの基本的な社労士業務に加え、賃金設計・人事評価制度構築・人材定着支援などの組織づくり支援を実施している。SNS発信×ママ社労士としても効率化を日々研究しながら社労士として活動中。

 

この記事をお読みの方におすすめの「カスハラ対策」コンテンツ

【知識定着確認テスト付き】カスタマー・ハラスメントから企業と従業員を守る!DVD

本DVDは、企業リスクとしてのクレームについて学ぶとともに、顧客が不満を感じて企業に接触する初期段階から、トラブルがエスカレートし、損害賠償請求へと至るケースまで、各段階における企業の適切な対応のあり方を、企業の労働問題に精通し、これまで数多くのハラスメント事案の対応や、企業の事実調査や懲戒に関する法的助言を行ってきた弁護士・佐久間大輔氏がワーク形式で具体的に解説。学習後の知識定着度の確認用に、全20問の「確認テスト」を収録しています。厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」の内容もほぼカバーしています。貴社のカスタマーハラスメント対策にぜひお役立てください。

>>>詳細はこちら


【資料ダウンロード】「人事担当者向けコラム 判例に見るパワハラ事例集」

>>>ダウンロードはこちら

 

「ハラスメント」関連記事

「トラブル防止・対応」に関するおすすめコンテンツ

ピックアップセミナー

人事労務業務の生産性向上をテーマに、社労士の視点からAI活用の実践ポイントを解説するセミナーを開催します。株式会社HRbase 三田弘道氏を講師に迎え、AIの基礎や最新動向を整理しながら、人事労務業務で負担の大きい作業をどう効率化できるのかを具体的に紹介。さらに、情報漏えいや誤回答などAI活用時のリスクとセキュリティ対策についても実務目線で解説します。

DVD・教育ツール

価格
52,800円(税込)

裁判例をもとに、パワハラの境界線とグレーゾーンを整理し、管理職が現場で迷わず判断できる力を養う研修DVDです。指導として許される言動と問題となる言動の違いを具体事例で解説し、管理職ごとの判断のばらつきを防止。講師はハラスメント案件に精通した弁護士・佐久間大輔氏。全管理職研修や再発防止研修など、繰り返し活用できる実務直結型の教材です。

価格
6,050円(税込)

かいけつ!人事労務では、法改正対応や従業員への周知、教育・啓蒙等に活用できる小冊子を販売しています。

通常は各種10冊1セットの販売となりますが、実際に手に取って中身を見て導入するかどうかを検討したいといったご要望に応え、小冊子を1冊ずつ、計8種類のセット商品をご用意しました。

おすすめコンテンツ

TEST

CLOSE