
医療機関・介護施設の給与&人事
病院・介護施設における人事評価制度の設計と実践的運用手法
<AIP経営労務合同会社 代表 大澤 範恭>
人事評価制度は、組織の業績向上と職員の育成・モチベーション向上を両立させる重要なツールです。
評価シートの作成から、成果評価と行動評価のウエイト設定、段階的な評価手順、処遇への反映、さらにはコーチング手法を取り入れた日常的なコミュニケーションや評価者訓練に至るまで、適正な運用のポイントを明確にすることが不可欠です。
本稿では、実効性の高い人事評価制度の改革と運用の全体像を解説します。
1.人事評価シートの作成と2つのアプローチ
人事評価制度を機能させるためには、組織の求める役割と評価基準をどのように整合させるかがポイントとなります。主な方法として「役割定義書と連結さる方法」と「区分する方法」の2つがあります。(「連結させる方法」による人事評価の全体像は図表参照)
連結させる手法では、評価を成果評価と行動評価に分類します。成果評価は個人ごとの目標達成度を測る「自己目標管理シート」を用いて行い、行動評価は役割定義書に示された「理念の実行」「業務の推進(Plan-Do-See)」「組織の維持・強化」という3つの行動責任に基づき評価します。職種や等級に応じて両者のウエイト付けを行い、下位等級では組織維持や行動面を、上位等級では業績成果を重視します。
一方、区分する方法では「期待する職員像」から具体的な評価要素と着眼点を抽出し、成績・意欲態度・能力の各要素をSからDの段階で評価します。いずれの方法においても、客観的で納得感のある基準をあらかじめ明示しておくことが求められます。
2.自己目標管理シートによる成果評価と適切な設定ルール
成果評価の質を高めるためには、単なるノルマ管理ではなく、ピーター・ドラッカーが唱えた「自己目標管理(MBO)」の本質である自発性と自己管理を尊重することが重要です。自ら目標を定め、進捗を管理し、自己評価を行うプロセスこそが能力開発につながります。
目標設定においては、以下の原則を徹底する必要があります。
プロフィール
大澤 範恭(おおさわ のりやす)
AIP経営労務合同会社 代表(https://www.aip-sr.jp/)
認定登録医業経営コンサルタント、特定社会保険労務士、行政書士
国際コーチング連盟(ICF)ACC(アソシエイト認定コーチ Associate Certified Coach)
(公社)日本医業経営コンサルタント協会埼玉県支部理事
埼玉県医療勤務環境改善支援センター医業経営アドバイザー
1982年 東京大学法学部卒業、厚生省(当時)入省
2017年 35年間在職した厚生労働省を退職
2018年 AIP社会保険労務士・行政書士事務所を開業
2019年 AIP経営労務合同会社を設立、医療・介護専門の人事・労務コンサルティングに従事
著書「医療機関・介護施設の”給与&人事“改革マニュアル(令和7年12月発刊 医学通信社)」
「医師の働き方改革実践ハンドブック(令和4年7月発刊 日本法令)」
「医師の時間外労働規制 関係法令通達集(令和5年10月発刊 日本法令)」











