企業が「人的資本経営」に取り組む意味とは?

公開日:2023年12月3日

<かいけつ編集部>

多くの企業で取り組みが始まっている「人的資本経営」って何?

人的資本経営とは、会社で働く“社員”を“会社の資本”、つまり“財産”として捉えて投資していくことで、持続的な企業価値の向上を目指していく経営手法です。

「人的資本経営=ウェルビーイング経営」と言われているとおり、社員が精神的・肉体的・社会的すべてにおいて満たされている“ウェルビーイング(=Well-being)”な状態を目指すことが一つの目標とされています。

2022年8月に、政府から人的資本の情報開示における指針(人的資本可視化指針)が公表されて以降、各企業で本格的に推進されるようになりました。

 

なぜ、いま「人的資本経営」なのか? 4つの理由

1. 「持続的な企業価値の向上=人材」という認識が広がっているから

社員が持つノウハウやスキル、知識は、“目に見えない資産”。中長期的な競争力の強化や企業価値の向上は、この“目に見えない資産”をいかに“目に見える資産”にしていくかが大切なポイントとなります。その中核となっているのが「人材」という認識が広がっています。

 

2. 国内外の投資家がその取り組みについて高い関心を持っているから

株式市場において主流になりつつあるESG投資。ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉ですが、国内外の投資家たちが環境や社会に配慮し適切なガバナンス(企業統治)がされている会社に投資(=ESG投資)しようとしています。なお、「人的資本」の項目はS(社会)とG(ガバナンス)に含まれています。

 

3. 2023年度に「人的資本」の情報開示が義務化されたから

2023年3月期決算以降、約4,000社の上場企業などを対象に人的資本の情報開示が義務化されました。発行する有価証券報告書に“人材への投資額”や“従業員満足度”などの人的資本に関する情報を記載し、ステークホルダーへの公開が義務づけられました。

 

4. 次なる世代、優秀な人材の確保のための重要な戦略だから

ますます加速する少子高齢化。人材確保がより難しくなり、人手不足に悩まされる企業が増加することでしょう。女性や高齢者を含む全世代が活躍し、一人ひとりを最大限に生かす人的資本経営に取り組むことで社員の満足度やモチベーションが上がり、離職率を下げるだけでなく、生産性もアップします。結果的に、次なる世代、優秀な人材の確保にもつながります。

 

企業が「人的資本経営」に取り組む4つのメリット

メリット1.社員のノウハウやスキル、知識を可視化できる

人的資本経営では、個人の能力を可視化していきます。人材育成を通して、社員がどのようなノウハウやスキル、知識を持っているのか、一人ひとりの能力を的確に把握できるようになります。「可視化」→「人材戦略のブラッシュアップ」→「人的資本への投資」といったサイクルを実施していくことで、企業価値の向上へとつながっていきます。

 

メリット2.従業員エンゲージメントが高まり、生産性が上がる

社員が精神的・肉体的・社会的すべてにおいて満たされている“ウェルビーイング(=Well-being)”な状態を目指すことで、従業員エンゲージメント、つまり会社への帰属意識や信頼感が高まります。これが高い企業は、利益や労働生産性、従業員定着率などが高いといわれています。

 

メリット3.企業イメージが向上し、優秀な人材を確保しやすくなる

「人材の長期育成ランキング」が発表されるなど、人材育成に力を入れている企業は、社会的な信頼を得られやすく、企業イメージも向上する一つの要因です。「この会社で働きたい」と思われることは、少子高齢化の中でも優秀な人材を確保しやすくなり、中長期的な競争力の強化につながります。

 

メリット4.投資家に注目されやすくなる

投資家の70%が、「投資判断をする際に人的資本の開示が影響を与えている」というデータがあります。これからますます、人的資本経営が企業価値を判断する必須の指標となることでしょう。

人的資本経営に積極的に取り組んでいる企業は、投資対象として投資家に注目されやすくなります。投資額が増えれば、企業のサービスがより拡大し売り上げも増加。持続的な企業の成長・発展が見込めます。

 

共通言語・共通認識を持つことから始める人的資本経営

いざ人的資本経営に取り組もうと思っても、「何から始めたらいいの?」と迷うところですよね。

人的資本経営は、多くの行政資料や公的機関の資料、国内外の指標、日本国内の法令や制度が個々に独立して存在しており、人的資本経営の全体像を個人でつかむのはきわめて困難です。

現在多くのセミナー・講演、講座等が行われていますが、上場企業における投資家向けの情報開示や金融商品取引法、女性活躍推進法など情報開示に関連する法令に大きくスポットを当てて説明されることも多いため、どこから一歩を生み出せばいいのかがわかりにくくなっている現状もあります。

実は、これから人的資本経営に取り組んでいく上で一番重要なことは「人的資本経営に関する共通言語と共通認識を持つこと」です。ここを見落としてしまうと、必ずどこかで齟齬が出てきます。共通言語と共通認識があることで、実務はぐっと進めやすくなるのです。

そこで、社内関係者の共通言語と共通認識を形成するのにピッタリなのが、"人的資本経営”の基礎知識と推進にあたっての実務力を認定する検定試験人的資本経営検定BASICです。

人的資本経営を実践していく際に必要な一通りの実務の基礎を習得できます。

担当部門・担当者の知識の習得のみならず、これから人的資本経営を実践していきたい企業、マネジメント層や従業員に人的資本経営の浸透させたいと考える企業の皆様、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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