フレックスタイム制でコアタイムが設定された時間中に遅刻や早退をし、または欠勤した場合、どのように取り扱えばよいですか?

公開日:2008年7月15日
Q.フレックスタイム制でコアタイムが設定された時間中に遅刻や早退をし、または欠勤した場合、どのように取り扱えばよいですか?
A.コアタイム時間中に、遅刻や早退、欠勤があった場合には、減給制裁等の規定を活用し対応することになると考えられます。
解説

 フレックスタイム制では、始業時刻、終業時刻は労働者の自由な意思決定にゆだねることから、清算期間の総労働時間を満たしている限り、遅刻・早退・欠勤の概念はないように感じます。たしかに、通常のフレックスタイム制では、始業時刻等を労働者自身が決定しますので、何時までに出社しないと遅刻、何時より前に退社したら早退ということは、清算期間の総労働時間を満たしている限り、あり得ないのです。 しかし、フレックスタイム制であっても、「コアタイム」を設けた場合は、話は別です。「コアタイム」とは、「必ず出勤していないといけない時間帯」のことです。この「コアタイム」に遅刻・早退、欠勤があっても、清算期間の総労働時間を満たしている限り、何の取り扱いもしないとなると、「コアタイム」を設定した意味がありません。 そこで、コアタイムに遅刻・早退、欠勤をした場合には、以下のような方法で取り扱うことが可能です。
1.就業規則の制裁規定に基づいて、コアタイムに遅刻または早退したときは減給の制裁をする。
2.清算期間中は、遅刻・早退・欠勤等の扱いをせず、賞与で減給の制裁または勤怠査定をする。
3.コアタイムに遅刻・早退等をしなかった者に対して精皆勤手当を支給するようにし、コアタイムに遅刻・早退等があった場合には、精皆勤手当を支給しない。

  以上のような方法で、コアタイムに遅刻等をした場合のペナルティを課し、または防止することができます。ただし、注意点として、
1.の減給の制裁については、1回の事案について、平均賃金の1日分を超え、総額が一賃金支払期の賃金の10分の1を超えてはなりません。(労働基準法第91条)
2.の賞与で減給の制裁をする場合も、上記と同様、制裁の事由が複数回に及んだとしても、減給の合計額が賞与総額の10分の1を超えてはなりません。(S63基発150号)
3.の精皆勤手当については、遅刻・早退、欠勤が一定回数以下の場合に支給する手当です。フレックスタイム制での精皆勤手当は、コアタイムに対する遅刻・早退、欠勤の有無だけが、支給、不支給の理由となります。そのため、就業規則または労使協定でその旨を明確にする必要があります。

コンサルタントからのアドバイス

コアタイムを定めたのに、遅刻、早退等のペナルティがなければ、実質、コアタイムのないフレックスタイム制となります。 その結果、出勤して欲しい時間帯に遅刻、早退等が横行してしまい、会社の秩序が乱れてしまうこともあります。 そのためにも、コアタイムに遅刻、早退、欠勤等があった場合には、ペナルティを課すのが望ましいです。 <社会保険労務士 PSR正会員 松田 将紀>

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