雇用保険法施行規則の一部を改正

公開日:2019年3月8日

1.雇用保険法施行規則に定める「雇用保険被保険者資格取得届」、「雇用保険被保険者資格喪失届」などの一定の届出について、一定の大企業においては、電子申請により行うこととする改正が行われました。
2.また、教育訓練給付金の拡充に係る改正も行われました。
〔1.=2020(平成32)年4月1日、
 2.=2019(平成31)年10月1日(一部は同年4月1日)施行〕

※ 厚生労働省から、この改正省令について、労働政策審議会で用いられた資料が公表されています。ご確認ください。
<概要>
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000462541.pdf

 概要は以下の通りです。

○雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第19号)

1.特定法人に係る電子申請の義務化

 雇用保険法第7条の規定による被保険者となったことの届出、被保険者でなくなったことの届出及び被保険者の転勤の届出並びに雇用保険法施行規則第101条の5第1項の提出及び第101条の13第1項の提出は、事業年度開始時における資本金の額が1億円を超える法人等にあっては、電子情報処理組織を使用して行うものとすることとされました。
 ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで届出等を行うことができると認められる場合は、電子情報処理組織を使用して行うことを要しないものとすることとされました。

〔解説〕
雇用保険に関する一部の手続について、特定の法人が行う場合には、電子申請によることを義務づけることとするもの

①義務化する対象手続
・雇用保険被保険者資格取得届出(雇用保険法施行規則第6条)
・雇用保険被保険者資格喪失届出(雇用保険法施行規則第7条)
・雇用保険被保険者転勤届出(雇用保険法施行規則第13条)
・高年齢者雇用継続給付基本給付金の支給申請手続(雇用保険法施行規則第101条の5)
・育児休業給付金の支給申請手続(雇用保険法施行規則第101条の13)

②特定の法人
・資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
・相互会社
・投資法人
・特定目的会社
※社労士及び社労士法人が特定法人に代わって手続を行う場合を含む。
※やむを得ない理由がある場合は次回以降の電子申請を促しつつ、紙での申請を受け付ける。

2.一般教育訓練給付の拡充について

 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練(以下「特定一般教育訓練」という。)を受け、修了した者については、教育訓練給付金の給付率を100分の40、その額の上限を20万円とすることとされました。

3.専門実践教育訓練給付の見直しについて

 専門実践教育訓練のうち法令の規定により4年の修業年限が規定されている教育訓練(以下「長期専門実践教育訓練」という。)を受講している者であって、次のいずれにも該当するものについては、教育訓練給付金の額の上限を160万円(当該教育訓練を修了し、当該教育訓練に係る資格の取得等をし、かつ、一般被保険者等として雇用された者又は雇用されている者については、224万円)とすることとされました。

①当該長期専門実践教育訓練の基準日から起算して3年が経過していること。
②当該長期専門実践教育訓練の基準日が支給限度期間の初日であること。
③当該長期専門実践教育訓練の基準日から起算して30箇月を経過する日の属する支給単位期間における賃金の日額が、基本手当の日額の算定に当たって100分の50(雇用保険法第16条第2項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、100分の45)を乗ずることとされている賃金日額の額のうち最も低額なもの未満であること。

〔解説〕
10年間の支給上限額(初回の専門実践教育訓練の受講日から10年間に受けることができる給付の上限額)を、次のように見直すもの
○法令上最短4年の専門実践教育訓練(専門職大学等、管理栄養士の養成課程)を受講する者について、10年間の支給上限額168万円(56万円×3)に4年目受講相当分として上限56万円を上乗せする。
ただし、在職者であって、かつ、比較的高い賃金を受ける者(例えば、基本手当日額の算出の際、50%の給付割合が適用される程度の賃金を受ける者など)は、この限りではないものとする。
○また、専門実践教育訓練の複数回受講の場合については、通常の3年以下の専門実践教育訓練を複数回受講する者とのバランスを考慮し、上記上乗せは行わないこととする。

4.教育訓練給付金の手続きなどの改正

①特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、当該特定一般教育訓練を開始する日の1箇月前までに、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(以下「資格確認票」という。)に、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書、過去に受けた特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこととされました。

②特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするときは、当該教育訓練給付金の支給に係る特定一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して1箇月以内に、教育訓練給付金支給申請書に当該特定一般教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこと等とされました。

③専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、当該専門実践教育訓練を開始する日の1箇月前までに、資格確認票に、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書、過去に受けた特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこととされました。

④専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするときは、支給申請期間内に、教育訓練給付金支給申請書に当該専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類(雇用保険法施行規則第101条の2の7第2号に掲げる者に該当する教育訓練給付対象者については、当該専門実践教育訓練に係る最後の支給単位期間について教育訓練給付金の支給を受けようとする場合に限る。)等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこととされました。

5.その他

これらの改正にあわせて、様式の変更なども行われました。

この省令は、2019(平成31)年10月1日から施行されます。
ただし、1.については2020(平成32)年4月1日、3.については2019(平成31)年4月1日から施行されます。

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