「障害者就労支援士(仮称)」というストレートな名前の資格をご存じでしょうか(「仮称」とあるように、確定しているわけではありませんが…)。
厚生労働省は2025年3月に、この資格創設についての報告書『「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」とりまとめ』を公表しました。報告書によると、新たな資格は、企業内で障害のある従業員の対応にあたる方や、障害者雇用の推進を目指す企業との親和性がとても高いものになっています。
そこで、企業の人事・労務のご担当者が、この新しい資格に興味を持っていただけるように、報告書や作業部会での議論を参考に、資格創設に至った背景や期待できることをご紹介しようと思います。
障害者雇用の現状と課題
(1)現状
法定雇用率の段階的な引き上げを背景に、民間企業における雇用障害者数は21年連続で過去最高を更新しており、「量的」側面における障害者雇用は着実に進展しています。一方、近年、雇用される精神障害者や発達障害者が特に増えたことから、身体障害者を想定した従来の雇用管理のノウハウをそのまま当てはめるのが難しくなってきました。
加えて、雇用の量的側面をクリアした今、採用後にいかに定着し活躍してもらうか、言い換えれば雇用の「質的」側面を向上させることが社会的に重要になってきています。しかし、同時に課題も浮き彫りになってきました。
障害者の実雇用率と雇用されている障害者の数の推移
出所:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」
(2)企業と障害者が抱える課題
プロフィール
大塚陽太郎
大塚社会保険労務士事務所(https://www.sr-otsuka.tokyo/) 社会保険労務士
約30年間、厚生労働省にて雇用の安定に向けた取組に多様な立場で関わる。コロナ禍での技能実習生の援助や、労働者派遣事業・職業紹介事業の指導監督を通じ、第一線の課題を把握しつつ事業適正化に取り組む。障害者雇用の制度運営や、職業訓練施策の企画にも携わる。
令和7年3月に厚労省を早期退職し、5月に社会保険労務士事務所を開設。オーダーメイドでの支援、経営者・従業員がともに輝く職場づくり、丁寧・迅速がモットー。












