「労災保険制度の在り方に関する研究会」は、女性の労働参加の進展や更なる就労形態の多様化など、労災保険制度を取り巻く環境が常に変化を続けている状況を踏まえ、労災保険制度の現代的課題を包括的に検討することを目的として設置され、令和6年12月から議論が重ねられてきました。
令和7年7月29日に開催された第8回の研究会においては、中間報告書(案)が提示されました。適用関係、給付関係、徴収等関係に整理して、これまでの検討結果が報告されていますが、報道などで話題になっているのは、遺族(補償)等年金における配偶者間の男女差(夫と妻との支給要件の差異)の解消が提言されていることです。
具体的には、現行の遺族(補償)等年金については、生計維持要件を充足する妻は年齢にかかわりなく受給権者となることができるのに対し、夫については、生計維持要件に加え労働者である妻の死亡時に55歳以上又は一定の障害がある状態でなければ受給権が発生しません。
さらに、受給資格者となる遺族が妻のみの場合、満55歳以上又は一定の障害があり、かつ、生計を同じくする他の受給資格者がいなければ、給付基礎日額について153日から175日に増額される特別加算が適用されますが、受給者となる遺族が一人かつ夫など妻以外の場合には、この特別加算は適用されないことになっています。
このような夫と妻の支給要件の差異について、この研究会の議論では、遺族補償年金の創設当時から半世紀以上が経過し、男女の就労状況や家族の在り方が変化していることも踏まえ、解消すべきとの点で意見が一致しているということです。
なお、その具体的な解消方法については、夫と妻以外の者に対する支給要件を含めた年金の支給対象者の範囲や給付期間の妥当性を含め、遺族(補償)等年金の制度全体の在り方について、専門的な見地から引き続き議論を行う必要があるとされています。
まずは、中間報告書がどのようにまとめられるのか、動向に注目です。詳しくは、こちらをご覧ください。
<第8回 労災保険制度の在り方に関する研究会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60107.html