【専門家コラム】パート社員の毎週の年休取得、負担か悪用か? ~多角的視点から考えるパートの年休取得問題~

公開日:2026年5月1日


パート社員の毎週の年休取得、負担か悪用か?
~多角的視点から考えるパートの年休取得問題~


<三谷社会保険労務士事務所 所長 三谷 文夫/PSR会員

 

「年間20日の年休が付与されるパート従業員(週所定労働日数5日、勤続10年)が、ほぼ毎週のように年休を取得している。本人の負担が大きい可能性もあるが、一方で、周りの社員からは『週5日勤務で年休をたくさんもらえることを悪用している』という声も上がっている。どうしたらいい?」

この職場では、この状況が職場でのチームワークに影を落とし、単なる個人の働き方の問題に留まらず、周囲のモチベーション低下や不公平感、ひいてはチームの生産性にも影響を及ぼしている様子。感情も絡むこの状況をどう捉え、企業はどう対応すればよいでしょうか。

「悪用」と見られる背景にあるもの

周囲の社員が「悪用」と見なす背景には、いくつかの感情や事実が絡み合っていると思われます。

(1) 不公平感と業務負担の集中

フルタイム契約でありながら、実質的に週4日勤務のような状態が続くと、その分の業務は他の社員に割り振られます。特に繁忙期や突発的な業務発生時に、休んでいる本人の業務をカバーする社員は「なぜ自分たちだけがしわ寄せを受けるのか」という強い不公平感や不満を抱くのは自然なことです。

(2) 責任感の欠如への疑念

契約上の責任を果たしていない、チームへの貢献意識が低いと映る可能性もあります。特に「ほぼ毎週」という頻度は、計画的というよりは業務やチームへの配慮が不足していると受け取られがちです。

(3) コミュニケーション不足

年休を頻繁に取得する背景が周囲に共有されていない場合、憶測や誤解が生まれやすくなります。「個人的な都合ばかり優先している」とネガティブに解釈されることも少なくありません。

確かに年休は労働者の権利で、「自由にいつでも取得できる」ものではありますが、日頃からのコミュニケーション不足から、たとえ法的には問題のない年休取得であったとしても、チーム内の軋轢は避けられません。

 

労働者の「負担」である可能性も考慮

 

プロフィール

社会保険労務士・産業カウンセラー 三谷 文夫
三谷社会保険労務士事務所 所長 

大学卒業後、旅館や書店等で接客や営業の仕事に従事。前職の製造業では、総務担当者として化学工場での労務管理を担う。2013年に社労士事務所開業。労務に留まらない経営者の話し相手になることを重視したコンサルティングと、自身の総務経験を活かしたアドバイスで顧客総務スタッフからの信頼も厚い。就業規則の作成、人事評価制度の構築が得意。商工会議所、自治体、PTA等にて研修や講演多数。大学の非常勤講師としても労働法の講義を担当する。趣味は、喫茶店でコーヒーを飲みながらミステリ小説を読むこと。

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