【専門家の知恵】SOGI(LGBTQ)と労務―第1回:LGBTQに関する基本的な用語

公開日:2022年2月25日

 第1回 LGBTQに関する基本的な用語

<SR LGBT&Allies(社会保険労務士LGBT&アライ)共同代表 特定社会保険労務士 小田瑠衣

 この連載では、LBGTQに関連する労務管理について、法令に関する情報、国・自治体・経済団体などの動き、人事労務の現場での実際の対応の仕方など、様々な切り口で検討していきます。第1回である今回は、今後の連載の前提となる知識として、LBGTQの話をするときに最低限必要な言葉について簡単に紹介します。 

 

「セクシュアリティ」 

 「セクシュアリティ」というのは「性のあり方」のことです。「セクシュアリティ」という言葉自体はとても広い意味を持っていますが、LGBTQについての話の中で「セクシュアリティ」という語を使う場合には、特にアイデンティティ(自分が自分であるという一貫した自己認識。自己同一性)に深くかかわるような性のあり方のことを言います。
 セクシュアリティ(アイデンティティに深くかかわる性のあり方)には複数の要素がありますが、中でも大事なのが「性的指向」と「性自認」の2つです。
●性的指向(Sexual Orientation):恋愛感情や性的欲望がどのような性別の相手に向かうのか、ということ
●性自認、性同一性(Gender Identity):自身の性別をどのようなものと認識しているか、ということ 

 

「セクシュアル・マイノリティ」 

 セクシュアリティの面でマイノリティ(少数派)である人のことを「セクシュアル・マイノリティ(性的マイノリティ、性的少数者)」と言います。
 多くの人の性的指向は自分の性別と異なる性別に向かいますが(このような人を異性愛者/ヘテロセクシュアルといいます)、自分と同じ性別に向かうレズビアンやゲイ、男女どちらの性別にも向かうバイセクシュアル、どの性別にも性的指向が向かわないアセクシュアル など、多数派とは違うあり方もたくさんあります。
 また、多くの人の性自認は、身体の性別や生まれたときに出生届に書いて登録した性別と同じであるため、性別に違和感なく暮らすことができますが(このような人をシスジェンダーといいます)、生まれたときに割り当てられた性別と性自認が一致しなかったりして出生届とは違う性別を生きる人(トランスジェンダー)もいます。
 つまり、厳密な言い方ではありませんが、「セクシュアル・マイノリティとは性的指向や性自認が多数派のあり方と違う人々のこと」とまとめることができます。

 

「LGBT」「LGBTQ」  

 「LGBT」や「LGBTQ」は、セクシュアル・マイノリティの代表的なカテゴリの頭文字を並べてセクシュアル・マイノリティ全体のことを表す言い方で、それぞれのアルファベットの意味は以下の通りです。
●L(レズビアン/Lesbian):恋愛感情や性的欲望が女性に向かう女性
●G(ゲイ/Gay):恋愛感情や性的欲望が男性に向かう男性
●B(バイセクシュアル/Bisexual):恋愛感情や性的欲望が女性にも男性にも向かう人
●T(トランスジェンダー/Transgender):出生時に割り当てられた性別と異なる性別を生きる人、また、異なる性別を生きたいと強く感じる人
●Q(クィア/Queerまたはクエスチョニング/Questioning):既存の性のあり方の枠組みにとらわれない人(Queer)、または、自分の性のあり方を探求中の人や決めたくないと感じる人(Questioning) 

 

 「SOGI」 

 Sexual Orientation and Gender Identity(性的指向と性自認)を略して「SOGI(ソジ/ソギ)」という言葉も、近年よく使われます。
 「LGBTQ」は少数派の集団を表す言葉なので、例えば「LGBTQの問題」という言い方をすると、「少数派だけの問題」「少数派の方に問題がある」「多数派は関係ない」といった印象を持たれることがあります。
 一方、「SOGIの問題」は「多数派を含め誰もが持っている特性についての問題」という言い方になるので、SOGIという言葉を使うと、多数派を含む全ての人に関わる話だということがわかりやすくなるわけです。

 

「ジェンダーの人」? 

 最近、SNSで「友達がジェンダー」という言い方を目にして、とても驚きました。
 ジェンダーというのは性別に関する社会的規範や社会的・文化的に形成された性のことなので、「友達が『性別』」ということになり意味がわからなかったのですが、発言者はどうやら「友達がトランスジェンダー」と言いたかったようです。
 言葉の使い方には幅があり変化するものとはいえ、人事担当者や社労士など相談を受ける立場の人が、トランスジェンダーの相談者に対して「あなたはジェンダーなんだね」と言ったりしたら、相談者は「言葉が通じない」「この人に話しても分かってもらえないのではないか」と不安になるのではないでしょうか。
 セクシュアリティに関する話は、英語をそのままカタカナにした言葉や他ではあまり使われない言葉も多く、「こんなにたくさんの言葉を覚えられない」とうんざりする方がいるのも仕方ないと思います。しかし、セクシュアル・マイノリティである従業員や相談者の状態を正確に把握するには、言葉の定義をある程度共有することが必要です。
 どうかうんざりせずに、この連載を通じて、セクシュアリティに関する言葉に積極的に触れていただきたいと思います。

 

プロフィール

SR LGBT&Allies(社会保険労務士LGBT&アライ)https://www.sr-lgbt-allies.com/

職場におけるセクシュアリティ関連の問題について考え、研修や啓発を行っているグループです。勉強会の開催、LGBTQ関連のイベントへの参加・登壇、研修講師、執筆活動などを行っています。東京都社会保険労務士会の自主研究グループ「ダイバーシティ経営研究会」の有志が、社労士以外とも協力して活動するために2018年に立ち上げた会で、現在は社労士、キャリアコンサルタント、行政書士、企業や労組の人事やダイバーシティ担当などが所属しています。メンバーのセクシュアリティも様々で、自身がLGBTQに該当する人もそうでない人も一緒に活動しています。

 

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