特定受給資格者の判断基準の一部が見直されました

公開日:2014年6月3日

 平成26年4月1日を施行日として、特定受給資格者(※)の判断基準のうち、時間外労働・過重労働及び賃金の不払い・遅配等に関する基準が見直されました。今までは、その離職理由についてやむを得ない面もあったと考えられるものの、その事由が連続していなかったり離職直前でなかったこと等により、自己都合による離職とされていた事例もあったことから、それを是正するものです。

※特定受給資格者とは、簡単にいえば、倒産・解雇等により離職を余儀なくされた者のことです。通常の離職者と比べて、基本手当(いわゆる失業保険金)の受給要件が緩和されており、給付日数も手厚くなります。

◆◆ 特定受給資格者の判断基準の一部見直し ◆◆   

 
 1 時間外労働・過重労働関係
⑴ 次の基準が追加されました(次の理由により離職した者も特定受給資格者とされます)。
① 離職の日の属する月の前6か月間のうちいずれか1月で100時間を超える時間外労働が行われたこと
② 離職の日の属する月の前6か月間のうちいずれか連続した2か月以上の期間の時間外労働を平均し1か月当たり80 時間を超える時間外労働が行われたこと
注.離職の日の属する月の前の6か月において退職を申し出たことにより年次有給休暇を取得している場合や体調不良等のためにやむを得ない理由により時間外労働が行われていない月がある場合はこれを除いて算定することとされています。

⑵ 従来からある基準である“限度時間(1か月45時間)を超える時間外労働が行われたこと”について、判断する期間が、「離職の日の属する月の前6か月のうちいずれか連続した3か月以上の期間」とされました(見直し前の判断する期間は「離職の日の属する月の前3か月間」でした)。

2 賃金の不払い・遅配関係
 賃金(退職手当を除く。)の額を3で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかったこと”について、従来は、そのような月が引き続き2か月以上となったことにより離職した者に限り特定受給資格者としていましたが、これに加え、「そのような月が離職の日の属する月の前6か月のうちいずれか3か月以上」となったことにより離職した者も特定受給資格者とすることとされました。

具体的には、次のような場合が、新たな基準に該当します。
・現実にその月(賃金月)中に支払われた額(賃金の対象月が何月分であるかを問わない。)がその者の本来その月(賃金月)中に支払を受けるべき額の3分の2に満たない月が離職の日の属する月の前6か月間にいずれか3か月以上あった場合
・毎月きまって支払われるべき賃金の全額が所定の賃金支払日より遅れて支払われたという事実が離職の日の属する月の前6か月間にいずれか3か月以上あった場合
〈補足〉これらの状態が混在する場合も該当します。

☆離職証明書に記入する離職理由等が違ってくることもあるので、雇用保険の被保険者である社員が離職した場合の手続きには注意が必要ですね。

 

 

 

 

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