
少子高齢化が進み、多くの企業が人材不足という課題に直面する中、社会的責任としてだけでなく、新たな戦力確保の観点からも注目される「障害者の雇用」。
「障害者の雇用」については、法律で、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率/民間企業は 2.5%)以上の障害者を雇うことが義務付けられています。
また、雇用分野における障害者差別の禁止、合理的配慮の提供も義務化されています。
しかし、障害者の方々の採用~現場でのOJT、職場定着や雇用管理などに関する実務について語られることはあまりありません。
そこで本コラムでは、企業向け障害者雇用コンサルティングをされているラグランジュサポート株式会社代表・特定社会保険労務士の木下文彦先生に、「障害者雇用の実務」について体系的に解説いただきます。
あわせて、障害者雇用を「法的義務」ではなく、「経営戦略」として捉え、持続可能な人材活用を目指す考え方をお伝えしていきます。
連載コラム
組織力を高める障害者雇用 NEW!
近年、SDGsやESG投資、ダイバーシティ経営といった言葉がビジネスの世界で広がりを見せています。慢性的な人手不足が課題の中小企業が障害者雇用にどう向き合うかは、これからの経営を左右すると言っても過言ではありません。
「障害者雇用」は単なる法令対応ではなく、企業価値や業績向上をもたらす経営戦略のひとつという視点が重要です。
障害者社員のキャリアプラン
厚生労働省は、法定雇用率の引き上げによる量的拡大に加えて、「雇用の質の向上」を目指しています。
雇用の質を向上させるためには、担当業務の公平公正な評価を行うことと、障害のある社員が自身のキャリアプランを考えることも重要です。そのためにおさえておきたいポイントとアプローチについてお伝えします。
障害者雇用の事例から学ぶ成功のポイント
障害者雇用と聞くと「法定雇用率の達成義務」といった言葉が真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
もちろん法令遵守は重要ですが、義務を超えて「組織の成長機会」として障害者雇用を位置付けている2つの企業の事例から、成功の要因を探ってみます。
障害のある社員の休職・復職支援と雇用管理
障害のある社員の休職・復職支援は、基本的には障害のない社員と同じですが、本人が持つ特性によっては一部異なる配慮が求められる場合があります。
今回は、障害のある社員の休職・復職時の雇用契約の見直しや段階的復帰における労働条件設定について、具体的なポイントを解説します。
精神障害者・発達障害者の雇用と留意すべき点
経営者や人事担当者の皆様にとって、精神障害者・発達障害者(以下、発達障害を含めて「精神障害」と言います)の雇用には「対応が難しそう」「コミュニケーションが取りにくい」といった不安を感じるかもしれません。
しかし、適切な理解と支援があれば安定して働くことができ、職場の貴重な戦力となり得ます。
職場環境整備のポイント
障害者雇用を進めるうえで、「環境整備」は欠かせないテーマです。単に法律を守るためだけではなく、障害のある社員が安心して能力を発揮できる職場をつくることは、結果として企業全体の生産性向上や離職防止にもつながります。
今回は、障害者雇用を意識したオフィス設計や環境整備の具体的なポイントを紹介します。
合理的配慮〜制度の理解と実務に役立てる工夫〜
障害者差別解消法の改正で、2024年4月から民間企業における「合理的配慮の提供」が法的義務となりました。
今回は、合理的配慮の制度面の位置づけとともに、企業が過度な負担を感じずに実践できる具体例や対応の工夫についてご紹介します。
障害者社員の職場定着の方法
過去の調査では、精神障害者の就職1年後の定着率は5割弱、最も定着率が高い発達障害者でも7割強でした。
障害者社員が安定したパフォーマンスを出せるような支援のポイントや上司や先輩社員の関わり方について、入社直後から1年経過までをオンボーディング期、エンゲージメント形成期、アダプテーション期の3つに分けて各フェーズに分けて解説します。
障害者の採用戦略
中小企業では、「どのように障害者を採用すればよいのか」「自社の業務に合う人材はいるのか」といった疑問や不安を抱えるケースが少なくありません。
本記事では、直近の障害者の求職・就職状況の動向を踏まえつつ、採用計画の立て方や採用ルートの確保など、これなら自社でもできると思える具体的な方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
障害者雇用関連法と企業の責務
障害者雇用は、多様性の尊重と社会的包摂を推進する上で重要な課題であり、人材確保の手段として認識されつつあります。
本記事では、障害者雇用に関連する法律の概要を把握し、企業が障害者雇用を行うにあたって理解しておくべき責務について解説します。
経営戦略としての障害者雇用とその基本
長期的に労働人口の減少が予想される日本で、企業が持続的に成長し社会的責任を果たすためには、多様性を尊重した働き方を推進することが重要です。
人材の多様性に資する障害者雇用は、単なる法令遵守ではなく企業の経営戦略として大きな可能性を秘めています。
本記事では、障害者雇用の概要と、経営戦略として障害者雇用に取り組むことのメリットや留意点について解説します。
執筆者プロフィール
木下文彦
ラグランジュサポート株式会社(https://lagrange-s.com/) 代表取締役
特定社会保険労務士、中小企業診断士
前職では主に法人営業および営業企画に従事し、人事部では障害者雇用部門の責任者として、採用・定着・教育研修・評価など全社70 名の雇用管理全般を統括した。
独立後は企業に対する障害者雇用コンサルティングを展開し、障害者雇用促進を通じて、障害の有無にかかわらず社員がここで働きたいと思える会社づくりを支援している。
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