【専門家の知恵】風通しのいいチーム作り~毎日報連相の場を設けてチームのコミュニケーションを図る~

公開日:2021年9月1日

<いろどり社会保険労務士事務所 内川真彩美/PSR会員>

 

 新型コロナウィルスの影響で時差出勤やテレワークを導入する企業が増え、「チームメンバーと顔を合わせることが減った」、「チームメンバーが何をしているのかわからない」といった課題をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、どんな働き方でも、コミュニケーションは積極的に取っていきたいものです。そこで今回は、主にソフトウェア開発で用いられる「スクラム」という開発手法から、どの業界でもすぐに取り入れられるミーティングをご紹介します。

 

全員参加で報連相の場を設ける

  「スクラム」とは、ソフトウェア開発の手法の1つです。その中に「デイリースクラム」という毎日行うミーティングがあります。これは、チームメンバー全員で、業務の状況を確認するために行われる「報連相」の場です。このデイリースクラムは、IT業界に留まらず、どの業界でも、コミュニケーションの一環として取り入れることができるものです。

 方法は簡単です。毎日、最大で15分間、全員が集まり、1人ずつ3つのことを話します。その3つとは、①この1日でやったこと、②これからの1日でやること、③仕事をする上で困っていること、です。
 所要時間は最大で15分ですし、ミーティングの内容も難しくはありません。既に毎日朝礼や終礼の場を設けているチームは、その内容を以上の内容に置き換えるだけで取り入れられる手法です。

 ポイントは、全員参加することと、全員発言することです。
 発言すべき内容から、チームの朝礼として行うことも多いですが、開催するのは必ずしも朝である必要はありません。フレックスタイム制や時差出勤を導入しているチームや、チーム内に時短勤務の方がいる等、朝一番に実施すると全員が参加できない場合には、全員が集まれる時間に開催します。

 また、チームでのミーティングというと、どうしてもリーダーに向けて報告する場になりがちですが、このミーティングは全員に向けて話します。対面で行う場合には、円形になって行う等、全員の顔が見える状態で行うと良いでしょう。また、オンラインの場合でも、カメラをオンにして全員の顔が見える状態にしておきます。一般的に、コミュニケーションの5割以上は、表情や身振り手振りといった目で見える非言語部分から伝わると言います。このミーティングは、報連相の場であると同時にコミュニケーションの場ですから、全員の顔が見える方が有効です。

 また、だらだらと開催するのはNGです。前述の通り、最大で15分を目途に実施します。そのため、あまりにも人数が多い場合には細かなチームに分けて行う等の工夫をします。だらだらと開催しないよう、対面開催の場合には立ったまま行うことも多いです。

 

「困っていること」の報告はチームの風通しをよくする

  仕事で何か問題が起きたときや、思ったよりも時間がかかっているとき、「もっと早く言ってよ」と思った経験は多くの方にあるのではないでしょうか。このミーティングでは、困っていることを発言する時間が毎日全員に用意されています。そのため、なかなか自発的に相談できない方でも発言しやすくなります。

 また、業務上困っていることの共有は、当然、チームの業務の円滑化に繋がります。ここでは必ずしも業務上の困っていることだけを話す必要はないと私は考えます。例えば、「今日までにやらなければいけない仕事があるが、子どもが熱を出しているのでできるだけ早く帰りたい」、「昨日から少し体調を崩している」等でもいいのです。
 チーム全員が顔を合わせていますし、それぞれその日にやることを報告し合っているわけですから、誰がヘルプに入れるか、どうすればチームで対処できそうかを、その場で考えることができます。

 困っていることを全員の前で報告するというのは、チームによっては勇気のいることかもしれません。いわゆる心理的安全性の低いチームでは、「こんなことで困っているのかと思われたらどうしよう」、「こんなこともできないのかと怒られるかもしれない」という思いから、困っていることがあっても発言できない雰囲気になっていることも多いです。そのようなチームでは、「個人を攻撃・否定するような発言をしない」のようなミーティングのルールを設け、誰でも発言しやすい空気を作ります。また、チームリーダーやベテランの方こそ、困っていることを些細なことやプライベートなことでもいいので、積極的に挙げるようにすることも工夫の1つです。

 当然、毎日時間を設けなくとも全員で積極的なコミュニケーションが取れる環境であれば、わざわざ時間を作る必要はないかもしれません。しかし、テレワークや多様な働き方が広がり、人と顔を合わせることが減りつつある今だからこそ、改めて職場のコミュニケーションを見つめ直し、より活発な意見交換のできる仕組みを考えていきたいものです。

 

 プロフィール

特定社会保険労務士、両立支援コーディネーター 内川真彩美

いろどり社会保険労務士事務所(https://www.irodori-sr.com)

 

 

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