【医療機関の労務管理】 「メンタル不調なので休職します」――その対応、本当に大丈夫ですか?

公開日:2026年1月6日

医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~

「メンタル不調なので休職します」――その対応、本当に大丈夫ですか?

〈ケーススタディで整理する休職対応の実務〉


<しみずハート社会保険労務士事務所 代表 清水美穂/PSR会員

>>>【連載】医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~

ある日、3年目看護師のAさんから次のような連絡が入りました。

「先輩に叱られてから体調が悪く、うつ病と診断されました。しばらく休職します」

診断書も提出され、確かに様子もつらそうです。院長と事務長は「無理をさせるわけにはいかない」と考え、「しばらく休んでいいよ」と伝えました。

この対応は労務管理として正しいと言えるでしょうか。

休業・休職は「当然の権利」ではない~雇用契約の原則~

まず押さえておきたい大前提があります。

休職は、労働者の当然の権利ではありません。雇用契約は、「働くこと」と「給料を支払うこと」をセットにした約束です。

病気などで労働力の提供ができなくなった場合、原則論では、その契約は継続できず、結論としては契約解除(解雇)になります。

休職制度は労働基準法に定めがなく、各企業が就業規則で任意に定める制度です。それでも、多くの医療機関が休職制度を設けているのは、すぐに解雇せず、回復の機会を与えるためです。

 

判断の出発点は「就業規則」

Aさんを休職させてよいかどうか?判断基準は、ただ一つ、『就業規則に休職規程があるかどうか』です。

  • 休職規程がない → 休職を認める必要はありません
  • 休職規程がある → その規程に沿って進めればよい

「診断書が出たから」「かわいそうだから」それだけでは、休職の根拠にはなりません。

 

「休職します」という申出では休職にならない

Aさんは「休職します」と申し出ていますが、それだけで休職が成立するわけではありません。

休職は、医療機関側が就業規則に基づき「休職命令」を出して初めて有効です。休職命令が出ていない状態で出勤していない期間は、原則として「欠勤」の扱いになります。

 

実務上の初期対応フロー

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プロフィール

清水美穂

社会保険労務士・医療労務コンサルタント・ハラスメント防止コンサルタント・2級ファイナンシャルプランニング技能士

しみずハート社会保険労務士事務所 (https://www.sr-heart.com/)代表

同志社大学経済学部卒業。
山口放送のアナウンサーを経て社会保険労務士資格を取得。
現在は医療・介護・福祉分野を中心に顧問業務を行う一方、夫が院長を務める内科クリニックの事務長として、診療報酬請求や人事・労務管理にも携わっている。医療機関向け制度解説をYouTubeでも発信している。
アナウンサー経験を活かした、わかりやすい説明に定評がある。


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