
医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~
「メンタル不調なので休職します」――その対応、本当に大丈夫ですか?
〈ケーススタディで整理する休職対応の実務〉
<しみずハート社会保険労務士事務所 代表 清水美穂/PSR会員>
>>>【連載】医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~
ある日、3年目看護師のAさんから次のような連絡が入りました。
「先輩に叱られてから体調が悪く、うつ病と診断されました。しばらく休職します」
診断書も提出され、確かに様子もつらそうです。院長と事務長は「無理をさせるわけにはいかない」と考え、「しばらく休んでいいよ」と伝えました。
この対応は労務管理として正しいと言えるでしょうか。
休業・休職は「当然の権利」ではない~雇用契約の原則~
まず押さえておきたい大前提があります。
休職は、労働者の当然の権利ではありません。雇用契約は、「働くこと」と「給料を支払うこと」をセットにした約束です。
病気などで労働力の提供ができなくなった場合、原則論では、その契約は継続できず、結論としては契約解除(解雇)になります。
休職制度は労働基準法に定めがなく、各企業が就業規則で任意に定める制度です。それでも、多くの医療機関が休職制度を設けているのは、すぐに解雇せず、回復の機会を与えるためです。
判断の出発点は「就業規則」
Aさんを休職させてよいかどうか?判断基準は、ただ一つ、『就業規則に休職規程があるかどうか』です。
- 休職規程がない → 休職を認める必要はありません
- 休職規程がある → その規程に沿って進めればよい
「診断書が出たから」「かわいそうだから」それだけでは、休職の根拠にはなりません。
「休職します」という申出では休職にならない
Aさんは「休職します」と申し出ていますが、それだけで休職が成立するわけではありません。
休職は、医療機関側が就業規則に基づき「休職命令」を出して初めて有効です。休職命令が出ていない状態で出勤していない期間は、原則として「欠勤」の扱いになります。
実務上の初期対応フロー
>>>【連載】医療機関の労務管理~押さえて安心!実務のポイント解説~
プロフィール
清水美穂
社会保険労務士・医療労務コンサルタント・ハラスメント防止コンサルタント・2級ファイナンシャルプランニング技能士
しみずハート社会保険労務士事務所 (https://www.sr-heart.com/)代表
大学卒業後、地方局のアナウンサーを経て、1999年に社会保険労務士試験に合格。2019年開業。現在は、医療機関を中心とした顧問業務を行うかたわら、夫が院長を務める内科クリニックの事務長として、診療報酬請求や人事労務管理も担当している。YouTubeでは【ベースアップ評価料】の解説を中心に配信し、現在登録者数は3,333人。これまでに登壇したセミナーは講師満足度95%を超える。アナウンサーの経験を活かしたわかりやすい説明が得意。
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