【経営人事改革の視点】営業活動の標準化
<株式会社ビジネスリンク 代表取締役 西川幸孝>
営業活動の再定義
営業活動は、あらゆる企業において業績を左右する最重要テーマです。
しかし現場では、目標数値の管理は行われていても、その裏づけとなる戦略や戦術が十分に整理されないまま、従来のやり方や担当者の経験に頼って進められているケースが少なくありません。その結果、部署や個人ごとの「結果管理」に偏り、戦略的・体系的な取り組みが不足しがちです。
まず着手すべきは、営業対象企業の明確化です。BtoB企業であれば、(1)新規顧客(未取引)と(2)深耕顧客(既存だが取引が限定的)に分類し、リスト化します。その際、営業ポテンシャル(最大でどの程度の売上を期待できるか)を仮説を置いて推定し、顧客をランク付けしていくことが重要です。顧客は企業の存立基盤であり、その価値を正しく評価することが不可欠です。
次に営業戦略を明確化します。対象とする市場の定義、ターゲット顧客の具体像、競合と自社の強み・弱みの分析、営業プロセスの設計、価格政策の方針といった要素を整理する必要があります。
特に「営業プロセスの設計」は標準化の基盤となります。例えば以下のように整理できます。
ステップ①:営業対象企業の選定
ステップ②:アポイントの取得
ステップ③:面談
ステップ④:提案
ステップ⑤:クロージング
ステップ⑥:アフターフォロー
こうした内容に加えて、ステップごとの目的と進め方(戦略とフロー)を定義することで、活動全体が可視化されます。なお、商品やサービスによってプロセスは違ってきますが、共通のフレームを持つこと自体に大きな意義があります。
標準化の進め方
プロフィール
西川幸孝
株式会社ビジネスリンク 代表取締役
経営人事コンサルタント 中小企業診断士 特定社会保険労務士
愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、商工会議所にて経営指導員、第3セクターの設立運営など担当。2000年経営コンサルタントとして独立。2005年株式会社ビジネスリンク設立、代表取締役。2009年~2018年中京大学大学院ビジネス・イノベーション研究科客員教授。「人」の観点から経営を見直し、「経営」視点から人事を考える経営人事コンサルティングに取り組んでいる。上場企業等の社外取締役も務める。日本行動分析学会会員