労働安全衛生規則等の一部改正

公開日:2015年4月20日

○労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成27年厚生労働省令第94号)

「労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)」のうち、今後施行を迎える規定(ストレスチェック制度の創設など)について、必要な関係省令の改正が行われました。〔平成27年6月1日(いわゆるストレスチェック制度関係については、平成27年12月1日)施行〕

改正の内容


⑴ 心理的な負担の程度を把握するための検査等(いわゆるストレスチェック制度)関係
① 産業医の職務
産業医の職務に、心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「検査」という。)の実施、検査の結果に基づく面接指導の実施及び面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関することを追加することとされました。
② 検査の実施等に係る規定の整備
ア 事業者は、常時使用する労働者について、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について検査を行うこととされました。
(ⅰ) 職場におけるストレスの原因に関する項目
(ⅱ) ストレスによる心身の自覚症状に関する項目
(ⅲ) 職場における他の労働者による支援に関する項目
イ 検査の実施者は、医師又は保健師のほか、厚生労働大臣が定める一定の研修(※1)を修了した看護師又は精神保健福祉士とすること(※2)。ただし、検査を受ける労働者について、解雇等の直接的な人事権を持つ監督者は、検査の実施の事務に従事してはならないこととすることとされました。
※1 研修の内容は、同日施行の官報に公布された「労働安全衛生規則第52条の10第1項第3号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修(平成27年厚生労働省告示第251号)」に定められている。
※2 経過措置として、施行日前に、労働者の健康管理等の業務について3年以上の経験を有する看護師又は精神保健福祉士については、研修を修了していなくても検査を実施することができることとされた。
ウ 事業者は、検査の結果を把握した場合には、当該結果の記録を作成し、5年間保存しなければならないこととすることとされました。それ以外の場合には、事業者は、検査を行った医師等の実施者による検査結果の記録の作成及び検査の実施の事務に従事した者による当該記録の保存が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならないこととされました。
エ 検査結果は、当該医師等の実施者から、遅滞なく、労働者に通知されるようにしなければならないこととすることとされました。
オ 検査の結果を事業者に提供することについての労働者の同意は、書面又は電磁的記録によらなければならないこととすることとされました。
③ 検査結果の集団ごとの分析等
事業者は、医師等の実施者に、検査の結果を一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるとともに、当該分析結果を勘案し、必要があると認めるときは、その集団の労働者の実情を考慮して、労働時間の短縮等の適切な措置を講ずるよう努めなければならないこととすることとされました。
④ 検査結果に基づく面接指導の実施等に係る規定の整備
ア 検査結果に基づく面接指導の対象となる労働者の要件は、検査の結果、ストレスの程度が高い者であって、検査を行った医師等の実施者が面接指導の実施が必要と認めたものとすることとされました。
イ 面接指導の申出は、労働者が検査の結果の通知を受けた後、遅滞なく行うとともに、事業者は、申出があったときは、遅滞なく、面接指導を実施しなければならないこととすることとされました。また、医師等の実施者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者に対して、面接指導の申出を行うよう勧奨することができることとすることとされました。
ウ 医師は、面接指導を行うに当たっては、当該労働者の勤務の状況や心理的な負担の状況等を確認することとすることとされました。
エ 事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、これを5年間保存しなければならないこととすることとされました。
オ 面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならないこととすることとされました。
⑤ その他の事項
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、検査及び面接指導の実施状況等について、所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこととすることとされました。

〔解説〕「労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)」において、いわゆるストレスチェック制度を導入することとされ、平成27年12月1日から施行されることになっていた。今回、その施行に必要な省令の規定が定められた。
なお、労働安全衛生法附則第4条の特例により、常時50人未満の労働者を使用する事業場については、当分の間、ストレスチェックの実施は、義務ではなく、努力義務とすることとされている。


⑵ 特別安全衛生改善計画関係
① 特別安全衛生改善計画の作成指示の要件等
ア 特別安全衛生改善計画の作成指示の対象となる重大な労働災害は、労働災害のうち、次のいずれかに該当するものとすることとされました。
(ⅰ) 死亡災害
(ⅱ) 負傷又は疾病により、労働者災害補償保険法施行規則別表第1の障害等級第1級から第7級までの障害に該当するものが生じたもの又は生じるおそれのあるもの
イ 特別安全衛生改善計画の作成を指示する場合は、次のいずれにも該当する場合とすることとされました。
(ⅰ) 重大な労働災害を発生させた事業者が、当該重大な労働災害を発生させた日から起算して3年以内に、他の事業場において、同様の重大な労働災害を発生させた場合
(ⅱ) (ⅰ)の重大な労働災害が、いずれも、事業者が、労働安全衛生法等の関係法令に違反して発生させたものである場合
② 特別安全衛生改善計画の提出に係る手続等
特別安全衛生改善計画の作成を指示された事業者は、指示書に記載された期限までに、計画の対象とする事業場、重大な労働災害の再発防止のための措置、計画の期間・実施体制等を記載した計画を作成し、提出しなければならないこととすることとされました。
③ その他
所要の手続等を定めることとされました。

〔解説〕「労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)」において、重大な労働災害を繰り返す企業に対応するため、厚生労働大臣が企業単位での改善計画(特別安全衛生改善計画)を作成させ、改善を図らせる仕組みを創設することとされ、平成27年6月1日から施行されることになっていた。今回、その施行に必要な省令の規定が定められた。

 
この省令は、⑴は平成27年12月1日から、(2)は平成27年6月1日から施行されます。

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