36協定に関する指針の策定など、働き方改革関連法の一部施行に伴う告示の一部改正

公開日:2018年9月8日

 いわゆる働き方改革関連法の一部(労働基準法、労働安全衛生法などの一部改正)が、平成31(2019)年4月1日から施行されます。
 これに伴い、いわゆる36協定に関する指針が策定されるなど、必要な関係告示の改正が行われました。〔平成31年4月1日適用〕

※この改正について、厚生労働省から、資料が公表されていますので、ご確認ください。
<「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/法律・政令・省令、告示、公示の条文等>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

 概要は以下の通りです。

○労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第323号)
○事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第324号)
○働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理に関する告示(平成30年厚生労働省告示第322号)

1 労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針関係

 「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」が策定されました。
 なお、現行の「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)」は廃止することとされました。

〔解説〕「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」のポイントは、次のとおりです。

①労使当事者は、労働時間の延長をできる限り短くするよう努めなければならないこととされました。また、休日の労働を可能な限り抑制するよう努めなければならないとされました。
(適用猶予後の自動車運転業務、建設事業等についても同様)

②限度時間を超える場合の健康確保措置として望ましい内容が規定されました。
具体的には、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければなりません。

一 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること
二 深夜において労働させる回数を一箇月について一定回数以内とすること
三 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること
四 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること
五 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること
六 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること
七 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
八 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
九 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること

③労使当事者は、限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金率を定めるに当たっては、法定の割増率を超える率とするように努めなければならないとされました。

④労使当事者は、労働時間を延長する必要のある業務区分を細分化することによりその範囲を明確にしなければならないとされました。

⑤労使当事者は、年720時間までの特例に係る協定を締結するに当たっては、次の点に留意することとされました。

・あくまで通常予見することができない業務量の大幅な増加等の臨時の事態への特例的な対応であるべきであること
・具体的な事由を挙げず、単に「業務の都合上必要な時」「業務上やむを得ないとき」といった定め方は認められないこと
・特例に係る協定を締結する場合にも、可能な限り原則である月45時間、年360時間に近い時間外労働とすべきであること

⑥使用者は、特例の上限時間内であっても、労働者への安全配慮義務を負うこととされました。
 また、脳・心臓疾患の労災認定基準において、発症前1箇月間の時間外・休日労働時間が概ね100時間超、又は2~6箇月間の月平均時間外・休日労働時間が概ね80時間超の場合に、業務と発症との関連性が強いと評価されることに留意することとされました。

2 事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針の一部改正関係

 事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針について、省令改正の内容を踏まえ、書面によって明示を行うことを原則とし、労働条件の明示を行う場合について、労働者が希望する場合は、①ファクシミリ、②電子メール等(出力して書面作成が可能なものに限る。)を認めることを明確にしました。

〔解説〕労働基準法第15条第1項の規定に基づき労働条件の明示を行う場合について、労働基準法施行規則及び労働基準法第15条の特例を定めている「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第5条の特例を定める省令(平成27年厚生労働省令第36号)」が改正され、現行においては書面による明示を必要としているところ、改正後は、労働者が希望する場合は、①ファクシミリ、②電子メール等(出力して書面作成が可能なものに限る。)を認めることとされました。
 この改正に伴い、指針の一部を改正するものです。

3 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理に関する告示関係

1 自動者運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正

 働き方改革関連法による労働基準法の改正に伴い、所要の規定の整備(文言整理)を行うこととされました。

2 「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針」、「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針」及び「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」の一部改正

 労働基準法施行規則における労働条件の明示に関する改正に伴い、表題の告示について、それと同様の改正を行うこととされました。

これらの告示は、平成31年4月1日から適用されます。

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