週休3日制が推進されている?これって実現可能なの?

公開日:2021年7月16日

もし、あなたの会社が週休3日になったら・・・
社員からすると、「休みが増えて楽になる」と喜ぶかもしれませんが、冷静に考えると「お給料は減るのでは?」とか、「結局、出勤日にいっぱい働かないといけないのでは?」といった不安が出てくるのではないでしょうか?
経営者からすると、「1人当たりの人件費を減らせるかも」と思うかもしれませんが、それ以上に「売り上げが維持できるのか?」、「取引先との連携がうまくいくのか?」といった不安のほうが大きいのではないでしょうか?

このように、週休3日制には課題も多く、現時点では、全社で一斉に週休3日制を導入することは難しいでしょう。

では、そんな不可能に近いことを政府が推進しているのでしょうか?
それは少し違いますね。

政府が普及・促進を図ろうとしているのは、「選択的週休3日制」です。

そもそも、「選択的週休3日制」がクローズアップされるようになったのは、自民党の提言からです。
これを受けて政府としても検討を行い、令和3年6月中旬に決定された「骨太方針2021」に盛り込まれるに至りました。

具体的には、「4つの原動力を支える基盤づくり」のなかで、次のように示されています。

<フェーズⅡの働き方改革>
労働時間削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する。

・ジョブ型正社員の更なる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組む。
・裁量労働制について、実態を調査した上で、制度の在り方について検討を行う。
・兼業・副業の普及・促進のため、ガイドラインの周知、取組事例の横展開等に取り組む。
・選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが
 考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。
・フリーランスについて、ガイドラインを踏まえ、関係法令の適切な適用等を行うとともに、
 事業者との取引について書面での契約のルール化などを検討する。
これらの取組により、多様で柔軟な働き方を選択でき、安心して働ける環境を整備する。

このように、「ジョブ型正社員」や「兼業・副業」などと同列に、「選択的週休3日制」の普及・促進が掲げられています。
 
将来的には、社会全体に週休3日制が浸透する時代が訪れるかもしれませんが、まずは、現状にマッチした「選択的週休3日制」の普及を図ろうといったところでしょう。

制度には、さまざまな形があるでしょうが、まずは、制度を設ける目的を明確にする必要があるでしょう。
例)多様で柔軟な働き方を選択できるようにする(政府の目的と同じ)。

また、もう少し具体的に、制度の適用期間も含めて明確にしていく必要があるでしょう。
例)育児や介護などで私生活に時間が割かれる時期に社員の希望に応じて利用できるようにする。
例)雇用期間の全期間について適用することとし、入社時の選択肢の一つにする(人手不足対策)。

そのうえで、その軸となる「週休3日(週4勤務)」の中身を考える必要があるでしょう。
さまざまな形が考えられますが、次のような考え方のうち、どれに沿って制度化を進めるのか?
それを明確にすることが重要といます。

その1 週の所定労働時間を減らし、その分、賃金も減らす。
    (例:1日8時間×4日=32時間。8時間分の賃金は減額)
その2 週の所定労働時間を減らすが、賃金は減らさない。
    (例:1日8時間×4日=32時間。賃金は40時間分を維持)
その3 週の所定労働時間を減らさない。
    (例:1日10時間×4日=40時間。賃金の減額の必要なし)

たとえば、育児や介護などが必要な時期に利用できるようにするのであれば「その1」か「その2」でしょうし、入社時の選択肢の一つにするのであれば「その1」か、もしくは「その3」もありかもしれませんね。

いざ制度化するとなると、そのほかにも取り決めることが多々出てくると思います。
特に、週休2日制である取引先との取引に支障が出にくい仕組みを作っておくことが重要といえるでしょう。

 

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