【専門家の知恵】<第1回>独自の切り口で「人的資本経営」を分解する

公開日:2023年6月20日

<アクシス社労士事務所 代表社会保険労務士 岡田勝義> 

まずは人的資本経営の定義を5つに分解してみよう

 「人的資本経営」とはいったいどのようなものなのだろうか?

 ネットで検索すればそれなりの情報は入手することはできますが自分ごと化できるほどに具体的な情報はまだまだ少ない印象です。

 このコラムでは、社会保険労務士×弁理士、経営学科卒×電気工学科卒、大企業勤務経験×中小企業勤務経験×地方自治体勤務経験のユニークな経歴をもつ筆者が独自の観点で「人的資本経営」を解説します。

  「人的資本経営」とは、経済産業省によれば、『人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方』とのことです。

 そして、この定義を分解していくと下記の構成要素に分けることができます。

(1)「資本」として捉えるとは?
(2)人材の価値とは?
(3)最大限に引き出すとは?
(4)中長期的なとは?
(5)企業価値向上とは?

 本コラムでは、これらの構成要素を深堀していくことで、人的資本経営がどのようなものか?具体的に経営課題解決に資する取り組みとはどのようなものか?簡単に解説していきます。

 

(1)「資本」として捉えるとは?

Ans.  人材も物的資本と同様に適切な投資によって価値が高まる存在であると捉えることです。

 従来は、「人材=コスト」という考え方が主流でした。
 しかしながら、このような考え方では国際的な競争に勝てないとの指摘がなされています(下記参照)。

 『企業価値に占める無形資産の割合について見ると、米国企業は、企業価値に占める無形資産の割合が過半を越えているのに対し、日本企業はいまだ有形資産価値の占める割合が大きい。その背景としては、日本企業が、依然として有形資産投資を重視する傾向にあり、新たな知財・無形資産に投資することによって、付加価値の高い新たな製品やサービスに転換し、新たなマーケットを創出していこうという試みにおいて、欧米・新興国の先進的な競合相手の後塵を拝していることが指摘される。』
『知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver 1.0)』より

 そこで、このような考え方を改め冒頭の考え方に至ったという背景があります。

 つまり、「人的資本経営を行う企業」と「人的資本経営を行わない企業」が競争すると「人的資本経営を行う企業」が勝ちやすいのです。
 そして、日本では「人的資本経営を行わない企業」が多いという現状ですので、それらの企業は人的資本経営に取り組むことで競争優位性を確保できる土壌が十分にあるということになります。

 

(2)人材の価値とは?

Ans. 概ね「知識」、「経験」、「ノウハウ」、「資質」に分けられます。

 これらはいずれも形が無いものですから可視化することが重要です。


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