>>>派遣先も要注意 違法派遣が招く直接雇用義務 ~労働契約申込みみなし制度を正しく理解する(前編)~
後編では、労働契約申込みみなし制度(以下「みなし制度」という。)が適用される残りの4類型(無許可事業主、事業所単位・個人単位の期間制限違反、偽装請負)を解説します。
また、申し込んだとみなされた労働契約の労働条件や派遣先の責任について説明します。派遣先に過失がなければみなし制度が適用にならない場合もありますが、定期的な点検や確認が不可欠であり、制度理解は企業のリスク管理上も重要です。
「労働契約申込みみなし制度」が適用される違法派遣の5類型(つづき)
みなし制度が適用される違反その②無許可事業主
労働者派遣事業を行う際には厚生労働大臣の許可が必要です。その許可を受けていない事業主から労働者派遣を受けた派遣先は、みなし制度が適用される可能性が生じます。
許可は、労働者派遣事業を実施しようとする事業所それぞれで受ける必要があることに注意してください。
許可の有効期間は、初めて許可を受けた場合は3年、更新後は5年です。派遣元の事業所が許可の有効期間を超過していないかについて、派遣先も留意する必要があります。
派遣先が派遣労働者を受け入れようとする際には、派遣元が適切な許可を受けているか、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」(https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/)で事前に確認しておくことが重要です。
みなし制度が適用される違反その③事業所単位の期間制限違反
プロフィール
大塚陽太郎
大塚社会保険労務士事務所(https://www.sr-otsuka.tokyo/) 社会保険労務士
約30年間、厚生労働省にて雇用の安定に向けた取組に多様な立場で関わる。コロナ禍での技能実習生の援助や、労働者派遣事業・職業紹介事業の指導監督を通じ、第一線の課題を把握しつつ事業適正化に取り組む。障害者雇用の制度運営や、職業訓練施策の企画にも携わる。
令和7年3月に厚労省を早期退職し、5月に社会保険労務士事務所を開設。オーダーメイドでの支援、経営者・従業員がともに輝く職場づくり、丁寧・迅速がモットー。