短時間労働者への社会保険の更なる適用拡大 労働時間の要件は?
<株式会社ブレインコンサルティングオフィス 社労士チーム>
令和6年10月から「短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大」が実施されますが、その適用要件の一つである「1週間の所定労働時間が20時間以上」は、所定労働時間が1か月単位で定められている場合などにはどのように判断するのでしょうか?
令和6年10月から新たに特定適用事業所となる企業(所定のルールのもとに判定した厚生年金保険の被保険者の総数が常時51人以上100人以下の規模の企業)では、次の要件に該当するパート社員等も、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う必要があります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金8万8,000円以上(年収106万円以上)
・学生でない
(注) いわゆる4分の3基準(1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者と比べて4分の3以上)を満たす社員は、企業の規模や上記の要件を問うまでもなく、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
ここで、「1週間の所定労働時間が20時間以上」という要件が重要になってくるわけですが、具体的にはどのように判断するのでしょうか?
一般的に問題となるケースを確認しておきましょう。
◎所定労働時間が1か月単位で定められている場合は?
⇒この場合は、1か月の所定労働時間を12分の52で除して、1週間の所定労働時間を算出します。
「12」は1年間の月数、「52」は1年間の週数です。
12分の52で除す、ということは、52分の12を掛けるということですが、そうすることで、
●1か月の所定労働時間×12=1年間の所定労働時間
↓
●1年の所定労働時間÷52=1週間の所定労働時間
という計算を行っていると考えられます。
ちなみに、これとは逆に、1週間の所定労働時間を1か月の所定労働時間に換算する場合は、1週間の所定労働時間に12分の52を掛ければよいことになります。
1週間の所定労働時間20時間が、1か月で何時間相当かというと、20時間×12分の52=86.66…で、約87時間となります。
シフト制の場合の雇用保険の適用の基準として、「月87時間以上」を基準としているケースもあるようですが、その87時間は、そうして求められた時間数となります。
◎所定労働時間が1年単位で定められている場合は?
⇒1年の所定労働時間を52で除して、1週間の所定労働時間を算出します。
ついでに、少し特殊なケースについても確認しておきましょう。
執筆
株式会社ブレインコンサルティングオフィス 社労士チーム
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