顧客や取引先からの不当な言動や要求を指す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が年々増加しており、従業員の精神的負担や離職につながる深刻な問題となっています。
こうした状況を受け、2025年6月、すべての企業にカスハラ対策を義務付ける法案が可決・成立しました。今後は企業規模を問わず、組織として適切なカスハラ防止策を講じることが求められます。
この記事では、カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義や、カスハラ対策義務化の流れとスケジュール、企業が行うべき具体的な対策について解説します。
カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などが従業員に対し、常識的に許容される範囲を超えた不当な言動を行うことを指します。暴言、理不尽なクレーム、過剰な要求、長時間の拘束などが代表例で、従業員の就業環境を大きく損なう行為として社会問題化しています。
日本には「お客様は神様」という文化が根強く残り、過度なサービス提供が当たり前となったことで、顧客側の要求水準が上昇してきました。さらに、SNSの発達やコロナ禍によるストレスの増加も、カスハラの発生を後押ししていると言われています。
公的な定義(厚生労働省・2024年)
以下の3要素をすべて満たすものをカスハラと定義しています。
1. 顧客・取引先など利害関係者が行う言動であること
2. 要求内容や手段が社会通念上相当な範囲を超えていること
3. 労働者の就業環境を害する結果をもたらすこと
どこからがカスハラなのか?(具体事例)
以下のような行為は、カスハラに該当する可能性が高いとされています。
① 暴力・暴行、物を投げつける
② 脅迫、恫喝、人格を否定する侮辱的発言
③ 土下座の要求
④ 長時間の拘束、不退去
⑤ 差別的発言や性的言動
⑥ 不当な金銭補償・商品交換の要求
⑦SNSでの誹謗中傷、晒し行為
これらは民事上の損害賠償だけでなく、威力業務妨害罪や脅迫罪などの刑事罰に問われる可能性もあります。
クレームとの違い
すべてのクレームがカスハラに該当するわけではありません。クレームは商品・サービスの改善につながる重要な意見であり、社会通念上妥当な要求かどうか、攻撃性があるかどうかが違いを判断するポイントとなります。
企業がカスハラ対策を行う必要性
プロフィール
牧 あや
まき社会保険労務士事務所(https://maki-sharoushi.com/) 代表
大学卒業後、社労士の資格に出会い、フルタイム勤務と育児を両立しながら2021年に合格。2022年、社労⼠事務所を開業。開業後は飛び込み営業+SNSを活用した集客でスピード感のある顧客開拓を行い、開業2年で関与した企業は200社超。就業規則・規程の作成実績は開業3年未満で100件を超える。
手続き・給与計算などの基本的な社労士業務に加え、賃金設計・人事評価制度構築・人材定着支援などの組織づくり支援を実施している。SNS発信×ママ社労士としても効率化を日々研究しながら社労士として活動中。
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