社員から退職の申し出があった場合における人事担当者の対応、第2弾。
今回は、退職時によく質問をうける「年休の残日数処理」、退職後のトラブル防止のための「誓約書」、該当する退職者に説明が必要な「退職後の出産手当金や傷病手当金等」について解説します。
>>>関連記事:社員から退職の申し出。人事の一般的な対応とは《退職の実務①》
年次有給休暇の処理
年次有給休暇(以下、「年休」という。)が残っている場合、その残日数の処理をどのようにするのか退職者本人と決める必要があります処理方法は3つです。
①退職日までに取得してもらう
引き継ぎ業務との兼ね合いも考えながら、退職日までに年休を取得してもらいます。それでも取得しきれない場合は、次の②③の扱いになります。
②買い取る
通常は、会社が年休を買取りすることは違法です。年休は心身を休めることが目的のため、休むことが必要で、お金で解決することはその制度趣旨に反するからです。
しかし、退職時あるいは時効によって消滅する年休に限っては、制度趣旨に反することがなく、年休の買取りは違法ではありません。
買取りをするかしないか、買取りをする場合でもその金額をいくらにするのか等は、会社の任意です。
③何もせず消滅
年休の残日数について何もしないパターンです。年休は、在職期間中に権利が発生するため、退職すると年休権は消滅します。そのため、上記①や②の対応をせずにそのまま退職日を迎えると、年休は消滅します。
誓約書
退職時には誓約書を退職者に提出してもらいましょう。目的は、企業の機密情報や取引先情報の保護、競業避止義務の確認、退職後のトラブル防止のためです。
誓約書には次の項目を盛り込むとよいでしょう。
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プロフィール
三谷社会保険労務士事務所 所長
大学卒業後、旅館や書店等で接客や営業の仕事に従事。前職の製造業では、総務担当者として化学工場での労務管理を担う。2013年に社労士事務所開業。労務に留まらない経営者の話し相手になることを重視したコンサルティングと、自身の総務経験を活かしたアドバイスで顧客総務スタッフからの信頼も厚い。就業規則の作成、人事評価制度の構築が得意。商工会議所、自治体、PTA等にて研修や講演多数。大学の非常勤講師としても労働法の講義を担当する。趣味は、喫茶店でコーヒーを飲みながらミステリ小説を読むこと。











