【専門家の知恵】2022年4月より労働者101人以上の事業主も義務化!女性活躍推進法対応で企業に必要なこととは

公開日:2022年4月13日

<いろどり社会保険労務士事務所 内川 真彩美/PSR会員> 

 

 女性活躍推進法とは、働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会を実現することを目的に、事業主に「一般事業主行動計画の策定」および「女性活躍推進に関する情報公表」を義務付けているものです。現時点で義務の対象となっているのは、常時雇用する労働者が301人以上の事業主ですが、2022年4月1日より、常時雇用する労働者数101人以上300人以下の事業主も義務の対象になりました。 

 

一般事業主行動計画の策定と公表①―まずは現状を把握し課題を分析するー 

 一般事業主行動計画策定にあたり、まずは自社の女性労働者の活躍状況を把握します。必ず把握しなければいけない項目が以下の通り4つ決められています。

①採用者に占める女性比率あるいは労働者に占める女性比率
 (直近の事業年度の女性の採用者数÷直近の事業年度の採用者数×100(%))
②平均勤続年数の男女比
 (女性の平均勤続年数÷男性の平均勤続年数)
③月別の平均残業時間数
 (各月の総残業時間数(法定時間外労働と法定休日労働)÷労働者数)
④管理職に占める女性比率
 (女性の管理職数÷管理職数×100(%))

 上記で把握した状況を元に、自社ではどこに課題があるのか、どうしたら改善できるのかを分析します。 

 

一般事業主行動計画の策定と公表②―課題を元に計画を立てるー 

 分析の結果、見つかった課題を改善するための施策を「行動計画」としてまとめます。難しく感じるかもしれませんが、A4用紙 1枚程度のもので問題ありません。以下のような内容を記載します。(記載例は厚労省発行のパンフレットも参考にしてください)

・計画期間
  2年から5年が望ましいとされています。
・目標
  数値目標を1つ以上定めます。例えば、「現状2人の女性管理職を5人にする」や「女性労働者の平均勤続年数を1年以上伸ばす」などのようなものです。
・取組内容
  目標を達成するために、いつまでにどのような取り組みをするかを記載します。この取り組みは1つである必要はなく、目標達成に向けてすべき取り組みをいくつ記載しても構いません。

 

一般事業主行動計画の策定と公表③―行動計画の公表と届出をする―  

 一般事業主行動計画は作成するだけでは不十分です。周知、公表のために、以下の3つのことを行います。

・社内周知を行う

 自社でどのような行動計画を立てたのかを社内に周知します。周知方法は就業規則と同様、社内の見やすい場所への掲示や備え付けや社内ネットワークへの掲載など、社内の誰もが閲覧できる状態にしておきます。

 

・外部公表を行う

 策定した行動計画は、社外にも公表する必要があります。会社のホームページへの掲載でも良いですが、厚労省が「女性の活躍推進企業データベース」(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/)というものを運営していますので、こちらに登録することで外部公表をすることも方法の1つです。

 

・労働局に「策定届」を届出る

 「一般事業主行動計画策定・変更届」を管轄の労働局へ提出します。様式は厚労省のホームページよりダウンロードが可能です。また、電子申請による届け出も可能です。

 

女性活躍推進に関する情報公表を行う 

 2022年4月から、一般事業主行動計画の策定・公表とは別に、「自社の女性活躍に関する情報」の公表も義務化されました。公表する項目は、以下の項目から1つ以上とされており、公表方法は、前述の「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページなどへの掲載で問題ありません。


<女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供>
・採用した労働者に占める⼥性労働者の割合
・男⼥別の採用における競争倍率
・労働者に占める⼥性労働者の割合
・係⻑級にある者に占める⼥性労働者の割合
・管理職に占める⼥性労働者の割合
・役員に占める⼥性の割合
・男⼥別の職種又は雇用形態の転換実績
・男⼥別の再雇用又は中途採用の実績


<職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備>
・男⼥の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男⼥別の継続雇用割合
・男⼥別の育児休業取得率
・労働者の一⽉当たりの平均残業時間
・有給休暇取得率

 情報は、当然、古いものを掲載しても意味がありません。年1回以上更新し、いつ時点での情報なのかがわかるように掲載しましょう。

 一般事業主行動計画の策定・届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する状況が優良である事業主は、労働局へ申請することで、女性活躍推進企業であることの認定(「えるぼし」認定)を受けることが可能です。認定を受けた事業主は、商品や広告に認定マークを使用することができ、女性活躍推進企業であることを広くPRすることができます。

 総務省の労働力調査等から見ても、日本の労働市場においては、女性の力が十分に発揮できているとは言えない状況にあります。一方で、人口減少などにより労働力が不足すると懸念され、女性の活躍推進は今後非常に重要です。今回の法改正が、今一度、自社の女性活躍について考える機会になればと思います。

 

プロフィール

 

いろどり社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士 内川 真彩美https://www.irodori-sr.com

 

 

 

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