私は社会保険労務士で、夫の内科クリニックの事務長もしています。 ここ数年、面接や顧問先で「副業してもいいですか?」と聞かれることが増えてきました。
厚生労働省のガイドラインでも、副業・兼業は原則認める方向性が示されています。副業・兼業に関する裁判例では、「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由である」とされており、裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが適当です。
今回のコラムでは、医療機関の「副業」について詳しく見ていきましょう。
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なぜ今、医療機関で副業解禁なのか
「副業OKにしないと人が集まらない」「副業OKを求人のウリにしたい」「うちでは正社員で雇えないから他で稼いでほしい」──こんな声をよく聞きます。
でも医療機関には特有の事情があります。 患者の生命・健康に直結する業務、高度な個人情報の取扱い、医療安全の確保という重大な責任。 だからこそ、「全面解禁」でも「全面禁止」でもなく、「認めるための適切な制度設計」が必要なのです。
方針は「原則認める」+「明確に線引き」
高度な個人情報を扱う医療機関だからこそ、競合・健康・情報の3点は譲れないところです。例えば以下のような運用が考えられます。
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プロフィール
清水美穂
社会保険労務士・医療労務コンサルタント・ハラスメント防止コンサルタント・2級ファイナンシャルプランニング技能士
しみずハート社会保険労務士事務所 (https://www.sr-heart.com/)代表
大学卒業後、地方局のアナウンサーを経て、1999年に社会保険労務士試験に合格。2019年開業。現在は、医療機関を中心とした顧問業務を行うかたわら、夫が院長を務める内科クリニックの事務長として、診療報酬請求や人事労務管理も担当している。YouTubeでは【ベースアップ評価料】の解説を中心に配信し、現在登録者数は3,333人。これまでに登壇したセミナーは講師満足度95%を超える。アナウンサーの経験を活かしたわかりやすい説明が得意。
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