【経営人事改革の視点】カジュアルさを重視する
<株式会社ビジネスリンク 代表取締役 西川幸孝>
形式主義の弊害
企業も一つの生命体です。
競争環境の中で成果をあげていくためには、強いエネルギーが必要で、それには社員が能力を開花させ、成長していくことが不可欠です。
社員の成長は、経営者であれば誰でも望むことですが、それは思う程には難しいことではないのです。人間は、進化を遂げてきた生物種として、持って生まれた能力を開花させ成長していこうとする生得的な指向性を有しているからです。能力の開花にフタをしたり、成長の邪魔をしたりしなければ、伸びていって当たり前とも言えます。
ところが、現実の企業においては、能力の開花や成長を阻害する要因がたくさんあります。
自由に意見を言うことや、会議などで率直な議論を交わすことが難しい雰囲気の会社があります。その状態は社員の成長・能力開花の妨げになっている可能性があります。雰囲気というのはあいまいなものですが、その組織を支配し、行動のあり方を決めてしまうほど強い力を持ちますので、決してあなどることはできません。
形式主義、建前重視の姿勢もその一つと言えます。
歴史を有する企業ほど、形式主義、建前重視のルールや習慣が幅を利かせることがあります。その内容が合理的で理解可能ならばいいのですが、 中には大部分の社員にとって“謎のしきたり”でしかないものがあります。
不合理的なものがはびこると、成長を促進する“伸び伸びとした”思考や行動を阻害し、組織の活力を奪うことになりかねません。形式主義と思考停止、行動萎縮は、多くの場合セットになっていることが多いからです。
カジュアルさを求める
プロフィール
西川幸孝
株式会社ビジネスリンク 代表取締役
経営人事コンサルタント 中小企業診断士 特定社会保険労務士
愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、商工会議所にて経営指導員、第3セクターの設立運営など担当。2000年経営コンサルタントとして独立。2005年株式会社ビジネスリンク設立、代表取締役。2009年~2018年中京大学大学院ビジネス・イノベーション研究科客員教授。「人」の観点から経営を見直し、「経営」視点から人事を考える経営人事コンサルティングに取り組んでいる。上場企業等の社外取締役も務める。日本行動分析学会会員